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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第246話 最強賢者、地上に戻る


「休むのも鍛錬のうち……分かりました! 頑張って休みます!」


「……別に、頑張る必要はないけどな」


そんな話をしているうちに、ガコガコと音を立てながら『迷宮エレベータ』が俺達のもとへと到着した。

……相変わらず、調子が悪そうだ。


壊れる前にメンテナンスしたいところだが、国が管理する『迷宮エレベータ』を勝手にいじるわけにもいかない。

もし俺がいるうちに壊れたら、直してやろう。


「ほ、本当に生きてた! ……ちゃんと4人いますよね?」


『迷宮エレベータ』の扉が開くと同時に、エレベータの操作係の人が叫んだ。

どうやら俺達は、死を疑われていたようだ。


「ああ。4人いるぞ。全員無事だ」


そう言って俺は、ルリイ達を指す。

もちろん4人は無傷だ。

というか、最初以外ほとんど戦闘すらしていない。


「27階層で戦って、無事だなんて……。魔物も倒せたんですか?」


「それなりにな」


そう言って俺は、倒した魔物の素材を少しだけ見せる。

階層主の素材はもちろん隠しておく。売ってくれとか言われたら面倒くさいし。


「さ、さすがは第二学園生のパーティ……! 強いとは聞いていましたが、ここまで深い階層に潜ったって話は初めて聞きました!」


「まあ第二学園生のパーティーも、いろんなのがあるからな」


今の第二学園で俺達の次に強いパーティーでも、27階層くらいはいけそうな気がする。

まあ、専用魔法なしでモンスターハウスなどに当たると危ないので、お勧めはしないが。


そんなことを話していると、次の階層に着いて他の冒険者が入ってきたので、そこで操作係との会話は終わった。

普通、こういう人はあまり冒険者の狩りなどについて詮索をしないものだった気がするが……まあ、若い冒険者が4人だけで27階層に行ったとなれば、心配されても仕方ないか。


迷宮に入る時にも、新人いじめをする冒険者(の、フリをしたギルド職員か何か)に止められかけたし。


『なんか、昇降機の調子悪いですね……』


『来た時より、なんか揺れが大きくなってない?』


ルリイとアルマも、昇降機の心配を始めた。

これは、本格的に寿命って感じだな……。

メインの魔法回路は大丈夫だが、恐らく2つの魔法回路をつなぐ部分の回路が壊れているのだろう。


メンテナンスで延命できるだろうが、このまま放っておくと変なタイミングで取り返しのつかない事態になるかもしれない。

……時間のあるときに、校長を通して国王にメンテナンスの話を伝えておくか。

壊れたときに素人が適当にいじると、修理さえできなくなってしまうかもしれないし。


『……なんとか、修理しやすいタイミングで壊れてくれることを祈りたいところだな。……これ、運がよくても半年しかもたないぞ』


『ちなみに、運が悪いといつ壊れるの?』


『運が悪ければ、3秒後くらいだな』


つまり、いつ壊れてもおかしくない。

ひとつ幸いなことがあるとすれば、この『迷宮エレベータ』は壊れても下まで落ちていくわけではなく、次の階層まで落ちて引っかかるタイプな点か。

そうでなければ、『迷宮エレベータ』が壊れたときに乗っていた客は100層まで直接叩き込まれることになっていた。


……そんな話をしている間にも『迷宮エレベータ』は上へと上がっていき、地上に到着した。

どうやら、『迷宮エレベータ』が壊れるシーンには立ち会わずに済んだようだ。


『なんとかついたね……』


『ああ。いっそ地上に着くと同時に壊れてくれれば、今日のうちに修理を終わらせて明日から安心できたんだけどな』


そんなことを話しながら、俺はギルドへ向かう。

この迷宮の建物には、ギルドの依頼窓口はあっても、買取窓口はないのだ。

恐らく、買取に必要となる倉庫を作るスペースがなかったせいだろう。


『なんか、小さいね』


ギルドに入って、アルマがそう呟いた。

確かに、このギルドは普通のギルドより小さい。

……冒険者が入れる部分は、だが。


『依頼窓口が少ない関係で、冒険者が入れるスペースは小さくて済むんだろうな。だがギルド全体の大きさでいうと、ここは結構大きいぞ』


『えっ、そうなの?』


普通のギルドの場合、冒険者から見えるスペースのほとんどは依頼窓口のためにあるスペースだ。

ここの場合、依頼窓口の役割は昇降機利用所が引き受けているため、そのスペースが必要ないのだろう。


昇降機利用所に窓口があれば、昇降機を待っている間に依頼を受けることができるし、合理的だ。


『魔力反応を見てみるといい。建物のなかで俺達冒険者が入れるスペースは、ほんの一部だ。買取窓口は普通のギルドより多いしな』


そう言って俺は、周囲の魔力反応を探る。

そこには、ギルドの巨大な建物の反応が映っていた。地下室まである。


『ほんとだ! 大きい!』


別にギルドが、冒険者に隠さなければいけないような場所を持っている訳ではないはずだ。

この建物のほとんどは、倉庫が占めている。


恐らく『ギャンブル迷宮』の近くのギルドには、毎日大量の素材が運び込まれるのだろう。

それだけ、この『ギャンブル迷宮』の素材産出量が多いということだろう。


収納魔法が普及していない今の世界では、『迷宮エレベータ』があるのとないのだと、持ち帰れる素材の量も変わってくる。

大量の素材を集めて稼げるとなれば人も集まるから、ますます素材の産出量が増えるという訳だ。


この迷宮の素材産出量は、間違いなく普通の迷宮の10倍を超えている。

そのうち、他の迷宮にも『迷宮エレベータ』を作れば、経済が活性化するかもしれないな。


そんなことを考えながら、俺は買取窓口へと向かう。


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