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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第242話 最強賢者、狩りをする


「ギャアアアアァァァァ」


「ギイイイイィィィィ」


炎に焼かれた魔物は苦痛の声を上げながら逃げようとするが、逃げ場など最初からない。

こうして魔物は倒れ、魔物から放出された魔力は経験値として俺達の中に蓄積された。


「な、なんかすごいね……」


「魔物をじっくり焼き殺すなんて、初めて見たよ……」


「入り口が狭いモンスターハウスと、専用魔法があってはじめてできることだからな」


まあ、今は入り口を閉めて閉じ込めたわけではなく、最初から出口が閉まっていた部屋の天井に穴が開いたので、そこから魔法を放り込んだだけなのだが。


「専用魔法……あれだけ高威力な魔法だと、ものすごく難しいんですよね?」


「実は、かなり単純な魔法なんだ。……それに時間を気にせず、ゆっくり組めるからそんなに難しくないぞ。……まあ、こんな魔法を覚えるくらいなら他の魔法を覚えたほうがいいし、俺一人でやるけどな。扉が壊れてたりして、魔物が出てきてしまった時だけ手伝ってくれ」


ただ威力を広範囲にまき散らすだけなら、複雑な魔法は必要ない。

むしろ威力を狭い範囲に集約させたり、短時間で発揮させたりする方が複雑な魔法構成になるし、消費魔力も増える。


この魔法の構成で一番時間がかかる部分は、単純な術式に必要な量の魔力を注ぎ込む工程だ。

普通なら短時間で魔力を注ぎ込んで術式を構成できるようにするのだが、この魔法はそこも犠牲にして、効率を追い求めている。

まさしく、専用魔法だ。


「よし、終わったみたいだな」


魔法のことを話している間に、火が収まった。


敵は、いい感じに全滅したようだ。

俺は魔物の骨が散らばった人工モンスターハウスに降りて、使えそうな素材を収納魔法に入れる。


あと、ギルドに売る用だ。

迷宮に狩りに行った以上、多少は迷宮の素材を売らないと、何か変なことをしていないか怪しまれる可能性がある。

一応は「狩りをしてきた」といえるくらいの素材は持っておいた方がいいだろう。


それに迷宮の素材は、国を発展させるための資源にもなる。

第二学園の生徒達なら、27層の魔物の素材でもまともに加工してくれるだろう。


「ものすごい数の素材ですね……」


「ああ。階層主のもあるから、これとかはそのうち使い道があるかもしれないな。……もう全部持ち帰ればいいか」


どうせ殲滅用魔法を使うと魔力は減るので、心置きなく収納魔法が使える。

使い道は後で考えるとして、倒した分は持ち帰ろう。


使える素材は使うし、そうでないモノは売ればいい。

普通に売ると面倒くさそうなら、校長を通じて第二学園行きでもいいな。


そんなことを考えながら素材を回収し終わった俺は、ルリイ達のほうに向き直る。

ここからが、このレベル上げの最も重要なポイントだ。


「ルリイ、この魔石に『魔法灯』の魔法陣を付与してみてくれ」


そう言って俺は、極小さい魔石をルリイに渡す。


「『魔法灯』? ……作りますけど、何に使うんですか?」


そう言ってルリイは、訝しげな顔をしながら魔石に『魔法灯』の魔法を付与する。


『魔法灯』は、数ある付与魔法の中でも最も基本的なものだ。

その効果は、ただ周囲を少し照らすだけ。

特に燃費がいいわけでもないし、使い道などないと言ってもいい。


付与も非常に簡単なので、ルリイは一瞬で付与を終えた。


「よし、問題なさそうだな」


そう言って俺は、ルリイが作った魔法灯を光らせる。


「さすがに『魔法灯』は失敗のしようがない気がしますけど……」


「経験値稼ぎで魔力が増えすぎると、魔力の制御が乱れるんだ。完成品の魔道具を見れば、魔力制御のレベルはすぐに分かる。そのために作ってもらった」


そう言いながら俺は、魔石に刻まれた魔法陣の線を観察する。

うん。真っ直ぐで太さのムラもない、いい線だ。


「経験値稼ぎの量って、そうやって確認するんですね……」


「ああ。直接調べる方法もあるんだが、この方が早いし魔力消費も少なくて済む」


俺はルリイと話しながら、収納魔法から木の棒を取り出す。


「アルマはこの棒の先に向かって『有線誘導エンチャント』付きの矢を打ち込んでくれ」


「わかった!」


そう言ってアルマが矢を放ったのを見て、俺は棒を振った。

すると棒の先端の動きに合わせて、アルマが矢に誘導をかける。


……よし。アルマも問題なさそうだな。


イリスに関しては、このくらいの経験値を稼いだところでほとんど今と変わらないので調べる必要は無い。

俺は俺で、自分の魔力制御の状況は感覚で分かるので大丈夫だ。


今見た感じだと、最初に限界に達するのは恐らくアルマだな。

アルマよりルリイの方が魔力制御は上手なので、制御できる魔力の量は多いだろう。


「二人とも、大丈夫そうだな。モンスターハウスを一つ殲滅するたびに、同じことをして様子を見よう。……地面に穴が開いてるから、落ちないように気をつけてくれ」


そう言って俺は、近くにあった扉の前で魔力を練り、『モンスターハウス殲滅の炎』を組む。

それから扉を開け、『モンスターハウス殲滅の炎』を中に放り込んでから扉を閉めた。


「ギャアアァァァァァ」


「ギイイイィィィィ」


中から、魔物たちの断末魔の悲鳴が聞こえる。

もしモンスターハウスの扉が壊れていたら、アルマ達に残党狩りを手伝ってもらおうと思っていたが……この扉、ちゃんと補強されてるな。


どうやら天井に手抜き工事を施した連中も、迷宮モンスターハウスにつけるドアが重要であることは理解していたらしい。

扉は迷宮用の合金で、しっかりと補強されていた。

これなら、破られる心配もない。


「これ、楽だな」


前世の時代には、普通の狩りだけで必要な経験値を稼げてしまったので、こんな混む狩り場に来ることはなかった。

『モンスターハウス殲滅の炎』は、別の場所のモンスターハウスを楽に潰すために作った魔法だ。


やはり、混む狩り場は混むなりの強みがあるというわけだ。

もっとも今の世界では、この狩り場に来る人間などいないのだが。


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