挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
240/275

第238話 最強賢者、強敵を見つける


『いよいよ、27層ですね……』


『本当に、ボク達でも倒せるのかな? ……ちょっと不安になってきた……』


『ワタシは、いつでもいけますよ!』


一番張り切っていたアルマは、ここに来て不安を覚え始めたようだ。

まあ、未知の敵を適度に恐れるのはいいことだ。

怖い物知らずは早死にするからな。


一方イリスは、いつも通りの様子だ。

暗黒竜であるイリスにとって、27層などほとんど1層と変わらない。

27層の魔物がいくら束になってかかったところで、イリスに傷一つつけられないだろう。


そんなことを考えつつ『迷宮エレベータ』に乗っていると……下の方に巨大な魔力反応が現れた。

距離的に……27層だ。


『なんか、すごい魔力を感じるんだけど……』


『こ、これが27層の魔物……! マティくん、これを倒して経験値稼ぎをするんですか?』


俺が魔力反応に気付いてから少しして、アルマとルリイも気付いたようだ。

『迷宮エレベータ』内は魔力ノイズが多く、周囲の魔力反応が掴みにくいが……これだけ巨大な魔力反応なら、簡単に分かる。


ルリイとアルマはそう言って魔力反応を観察しているが……あの魔力反応は、明らかに普通の魔物ではない。

27層の魔物は、あんなに強くないし。


というか……。


『あれ、階層主だな』


『27層の階層主!?』


前世の時代には、この階層で階層主を見ることなど滅多になかった。


人気の狩り場だし、駆け出しの魔法戦闘師の育成に使われる場所でもあったので、不測の事態に対応できるように監視役の一流魔法戦闘師がいたからな。

そのため、階層主が現れてもすぐ魔法戦闘師によって倒されてしまったのだ。

確か、ここに現れた階層主の平均寿命は10分くらいだった。


しかし、昔の魔法戦闘師が10分で倒せるからといって、27階層の階層主が弱いということにはならない。

当時の一流魔法戦闘師は、いまの時代にいるような雑魚魔族であれば魔法一撃で倒せてしまうだけの力があったのだから。


さすがに最上級魔族ともなると一流魔法戦闘師でも対処しきれず、俺や剣術馬鹿のロイターが呼ばれることになったのだが。


『……引き返しますか?』


『いや、このままいこう』


階層主は確かに強いが、倒せない相手ではない。

第二学園にいた頃の俺でも、21階層の階層主を単独討伐できたのだ。


あの頃に比べれば俺の力も上がっているし、今はルリイとアルマ、それにイリスがいる。

全く勝てない相手ではない。


『27階層の階層主相手に、どうやって戦うんですか……?』


『普通に倒す。俺とイリスで攻撃を受けつつ攻めて、アルマ達が遠くから攻撃する形だな』


27階層の階層主を倒すのに、大した作戦は必要ない。

普通に攻撃して、実力差で勝つ。それだけの話だ。


『分かりました!』


俺の言葉に、イリスが即答する。

暗黒竜のイリスにとって、27階層のボスなど別に怖くはないのだろう。


イリスの防御力があれば、階層主の攻撃など『ちょっと痛い』くらいで済むからな。

人の姿のままのイリスでは、1対1で倒しきることはできないかもしれないが……逃げるくらいはなんとかなるだろう。


『27階層のボスって、凄まじい攻撃力を持ってるんですよね!? マティくんとイリスさん、大丈夫なんですか!?』


俺の言葉を聞いて、ルリイが俺に聞く。

もちろん、そのことは考えての作戦だ。


『ワタシは大丈夫です! いざとなったら、竜の姿になって噛みついてやります!』


『俺も大丈夫だ。魔族の攻撃よりも避けやすいし、避けるスペースならたくさんあるからな』


確かに俺は、27階層の階層主の攻撃を防御魔法なしでまともに食らえばほぼ確実に一撃で死ぬ。

だが、27階層の主ごときの攻撃をさばけないようなら、俺はとっくにこの世にいない。


というか、『イーリアス管理迷宮』27階層の敵の攻撃は避けやすいのだ。

なにしろ27階層は地面が平坦で、しかも全体的に空間が広い。


迷宮内での戦闘は回避スペースとの戦いになることも多いのだが、スペースを全く気にせずに回避できるのだ。これは大きい。


「27層に着きましたが……本当にここで降りるんですか?」


そう言って操作係は、信じられない顔をしている。


作戦会議をしている間に、27層に到着したようだ。

とりあえず、降りてしまおう。


「ああ。……戻ってくる時には、このボタンを押せばいいのか?」


そう言って俺は、『迷宮エレベータ』の出口付近についたボタンを指す。

前世の時代にはこのボタンを押すことで、『迷宮エレベータ』を呼んでいた。


「それで大丈夫です。反応が悪いことがあるので、光らなかったら何度か押してみてください。……生きて帰れることを、祈っています」


これもメンテナンス不足か……。


★『異世界賢者の転生無双』公式ページはここをクリック★

『異世界賢者の転生無双』書籍版出ます!!

拙作『異世界賢者の転生無双』の書籍版が、【4月14日】に発売します!!

書き下ろしもありますので、よろしくお願いします!

★『異世界賢者の転生無双』公式ページはここをクリック★

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。