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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第237話 最強賢者、迷宮を下りる


「じ、ジーオンさん! しかし彼らはほんの子供ですし……」


冒険者の言葉を聞いて、俺とにらみ合っていた男は今までのでかい態度を180度変えて、そちらに向き直った。


どうやら冒険者は、ジーオンという名前のようだ。

俺とにらみ合っていた男(カミアスというらしい)の反応を見る限り、偉い冒険者なのだろう。


この場にいる中で俺達の次に強いのが、あのジーオンだ。

その次はカミアスだが、両者の間にはかなりの実力差がある。


ジーオンが今の状況をなんとかしてくれるなら、とてもありがたいのだが。


「年齢だけで判断するな。そこの4人は、間違いなくお前より強いぞ。見れば分かる」


「……俺だって、6人パーティーで迷宮を11層まで攻略できています。その俺より、この子供達の方が強いと?」


「そこの冒険者達なら、11層くらい単独で攻略できるだろう。……見て分からないのか?」


どうやらジーオンは、俺達の実力を理解しているようだ。

ある程度戦闘に慣れた人間は、見ただけでも相手の実力を理解することができる。


ジーオンはそのレベルに達していて、カミアスはまだ相手の実力を把握できるところまで来ていないということだろう。


「こんな子供が、一人で11層を?」


「人を見かけで判断するな。……年齢的に見て、そこの冒険者たちは第二学園生だろう。俺でも実力の底が見えない」


「確かに今の第二学園生は強いと聞きますが……そんなに強いんですか?」


「ああ。この間王都に行った時に見てきたが、化け物揃いだったぞ。中でもマティアスとかいう奴は飛び抜けてやばいと聞いたが……そいつには会えなかったな」


そいつ、今目の前にいるけどな。

そんなことを考えていると……一度人を運び終えた昇降機が戻ってきた。


今がチャンスだ。

あの昇降機に乗って、話を切り上げよう。


「行ってもいいか? 早く狩りがしたいもんでな」


「……分かった。だが、気をつけろよ。無理はするな」


「分かった」


そう言って俺は、ルリイ達3人とともに昇降機に乗り込んだ。

どうやら、すでにカミアスには横暴なベテラン冒険者を演じるつもりはないらしい。


俺と一緒に、ジーオンも乗り込んでくる。

狭い昇降機は、それでいっぱいになった。カミアスとはお別れだ。


「いつも通り、13層でいいですか?」


「ああ」


そう言ってジーオンが、昇降機の乗組員に1300エルミを手渡す。

どうやらジーオンは、ソロで迷宮に挑むようだ。


迷宮攻略は、パーティーで行った方が効率がいいのだが……きっと何かの考えがあるのだろう。


「そちらの方々は、何層まで行きますか?」


「27層だ」


そう言って俺は、4人分の昇降機利用料、10800エルミを渡そうとする。

だが……乗組員は、受け取ろうとしなかった。


「ええと……もう一度お願いします」


「行き先は27層だ。ここに4人分の利用料がある」


「……15階層より先への移動は非常に危険が伴うため、許可が必要になっています。一旦戻って許可の取得を――」


「許可はこれでいいか?」


そう言って俺は、国王からもらってきた迷宮行きの許可証を見せた。

許可証には、ごく一部の例外的な迷宮を除いて、全ての迷宮の全階層への立ち入りを許可すると書いてある。


その例外にここ『イーリアスの管理迷宮』が含まれないのはすでに確認済みだ。


「こ……国王陛下の許可証!?」


「ああ。……これで昇降機の利用が認められないなら、歩いて降りることになるが……」


「も、もちろんこの許可証があれば、昇降機の利用は可能です!」


どうやら、昇降機を使えるようだ。

ルリイ達を連れて27層まで自力で降りるとなると、それなりに時間も体力も必要なので、正直助かる。


……実のところ27層の魔物より、26層とかの魔物のほうが強いし。


「では、出発します。揺れにご注意ください」


そう言って乗組員が、昇降機を操作する。

すると昇降機が、ゆっくりと降り始めた。


……昔の『迷宮エレベータ』は、こんなに遅くなかったはずだ。

迷宮での階層移動において、速さは非常に重要な要素になる。

たとえば苦戦しているパーティーに援軍を送り込むような場合、ほんの数秒の差がパーティーの運命を左右することにもなるのだ。


だからこそ『迷宮エレベータ』の設計では、速度が最も重要視された。

確か、この迷宮に設置されていた『迷宮エレベータ』は、今の5倍近い速度が出るはずだ。


恐らくメンテナンスの技術がないため、本来の性能が発揮できていないのだろうな。

まだ動いているだけ、マシな方だと言うべきか。

そもそも、何のメンテナンスもせずに動かすつもりで設計された魔道具ではないし。


「13層です」


『迷宮エレベータ』の遅さを嘆いている間に、13層まで来たようだ。

13層の中の様子は、前世の時代とほとんど変わっていない。


迷宮は地下深くにあるため、魔力融合炉の爆発による影響が小さかったのだろう。


「おう。いつもありがとな」


そう言ってジーオンが、『迷宮エレベータ』を降りた。


俺達が降りる階層について、ジーオンは何も聞いてこなかったが……正直ありがたい。

27層での狩りはけっこう特殊なので『様子を見に来る』などと言われたら面倒なところだった。


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