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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第236話 最強賢者、あなどられる


「じゃあ、とりあえず行くだけ行って様子を見てみるか。いい感じに経験値稼ぎができそうなら狩りをすればいいし、ダメそうなら戻ってくればいい」


「せっかく昇降機を使うんだし、できれば狩りをして帰りたい!」


「アルマ、深い階層なんですから、いくらマティ君がいるからって油断しちゃダメですよ! 安全第一です!」


張り切るアルマに、ルリイが冷静な突っ込みを入れる。

そんな会話をしながら俺達は、昇降機利用所という建物に入った。


「……結構広いな」


「人も多いですね……」


「なんか、ギルドって感じです!」


イーリアスの昇降機利用所は、思ったよりも広い建物だった。

イリスの言う通り、確かにギルドに近いと言えば近い。


昇降機本体(予想通り、前世の時代に作られたものだ)は人が20人乗れる程度の大きさだが、その周りには広い待合室があった。

冒険者達はここで昇降機の順番待ちをしているようだ。


そして待合室の壁にはギルドと同じような掲示板があり、迷宮関連の依頼や各階層の状況、地図などが書かれている。

ギルドの出張窓口もあるので、恐らくここで依頼を受けることもできるのだろう。

まあ、地図や階層の状況に関しては10階層までの分しかないので、俺達の役に立ちそうにはないが。


そんなことを考えながら俺は、順番待ちの札を受け取りに行く。


「4人で乗りたいんだが」


「分かった。こちらの札を持って待っていてくれ」


そう言って受付の男は、俺に順番待ちの札を渡しつつ――俺の背後に向かって目配せをした。

その視線の先にいるのは、冒険者風の男だ。


……目配せの意図は分からないが、警戒しておいた方がいいか?

そんなことを考えつつ、札を受け取った俺がルリイ達のもとに戻る。


「次に昇降機が来るのは、1分後みたいだな」


そう言って俺は、昇降機近くの表示板を指した。

そこには、次の昇降機が来るまでにかかる時間が表示されている。


……昇降機待ちの人数を見ると、次の昇降機には乗れなさそうな気がする。

大人しく、次の次の昇降機に乗ることにするか。

別に、そこまで急いでるわけじゃないからな。


そう考えていると――後ろから声をかけられた。

声の主は、さっき目配せを受けていた男だ。


「おい、そこのガキ。お友達を連れて迷宮探検のつもりか?」


……なんというか、まさに『新人冒険者をいじめるベテラン冒険者』といった感じの台詞だな。

ここは俺も、新人冒険者らしい台詞を返しておくか。


「……ガキじゃなくて、冒険者だ」


そう答えた俺を、男が睨み付ける。

俺がにらみ返すと、状況はにらみ合いの様相になってきた。


『これ……絡まれてるってことですか?』


『なんか、あんまり敵意みたいなのを感じないんだけど……』


『そういうのも、分かるようになってきたか』


絡んできたこの男は、恐らく俺に対しての害意はない。

と言うのも、言葉とは裏腹に、全く俺に対する敵意を感じさせないのだ。


周囲の冒険者達も『ご苦労さん』とでも言いたげな目で、大剣の男を見ている。

その様子は、新人冒険者に絡むベテラン冒険者を見るような目ではない。


恐らく、一攫千金にやってきた無謀な冒険者を脅して、あまり無謀な行動をとらないように気をつけさせるつもりとかだろう。

戦闘経験の浅い新人なら、これでも十分な脅しになるだろうからな。


恐らく一通りビビらせ、力の差を見せつけたあとに、「俺の攻略階層は5層だ」とでも言う予定だったのだろう。

そうすれば無謀な新人も、自分たちの力では5層にさえ行けないと理解し、浅い階層から攻略を始める。

新人が無謀な階層に挑んで無駄に命を散らすのを、防ぐことができる。


恐らく、それが彼らの目的だ。

身の程知らずな狩り場で新人冒険者が命を落としたりするのは、手痛い損失だからな。


荒くれ者に見せかけてそういった冒険者に注意を促すのが、彼らの仕事なのだろう。

装備に関しても、性能より見た目の迫力とかを重視して選ばれているように見える。


前世の頃も、ギルドの依頼を受けてそういった仕事をしている者はいた。

いつの時代も、無謀な冒険をしようとする冒険者がいるのは同じというわけだ。


……さて、どう対処すべきか。

別に一度戦って俺達の戦力に心配がないことを分かってもらってもいいのだが、それには時間がかかるし、とても目立つ。


そんなことを考えていると――待合室の奥に居た冒険者が、俺とにらみ合う男に声をかけた。


「カミアス、やめておけ。必要無いと思うぞ」


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