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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第234話 最強賢者、いい場所を見つける

サイヒル帝国に忍び込み、源流を浄化してから数日後。

俺達は無事にエイス王国の王都へと戻っていた。


だが、これで一件落着というわけではない。

サイヒル帝国で水道水に毒を混ぜ、生命力を集めていた魔族の裏には、古代文明時代の国王、グレヴィルがいた。


そしてグレヴィルは俺達を前に、今から3ヶ月以内にグレヴィルを倒さなければ世界を滅ぼすと宣言した。

これを言ったのが普通の魔族や人間なら、こけおどしで罠にかけるつもりだと切って捨てるところだが……相手が古代文明の王となると話が違ってくる。

あの時代のアーティファクトには確かに今の人間を滅ぼす力があるし、グレヴィルがその扱い方を知っていても、何の不思議もないのだ。


……と言うことで俺達は、今後の作戦を決めるために集まっていた。


「とりあえず、行き先を決めるぞ」


そう言って俺が取り出したのは……エイス王国の、迷宮マップだ。

ここには現在見つかっている迷宮のリストと、その位置が書かれている。


ちなみに、迷宮に立ち入る許可は、国王に出してもらった。

これで国家機密に関わる一部の迷宮以外なら、どこにでも入れる。


校長経由で頼んでみたら、許可はあっという間にもらえたのだ。


「迷宮マップですか?」


「ああ。手っ取り早く戦力を上げるなら、迷宮が最適だ。……経験値の存在は教えてたよな?」


「魔物を倒すと、倒した人が少しずつ強くなっていくっていう話ですよね?」


「ああ。その経験値を効率よく稼げる場所が、迷宮にあるんだ」


そう言って俺は、迷宮マップを眺める。


経験値稼ぎに向いた迷宮は、前世の時代でも重宝されていた。

そのため、いい狩り場がある迷宮は有名だったのだ。


もちろん俺は、いい狩り場のある迷宮を覚えている。

当時から知られていた場所も、知っている人の少ない穴場のような場所も。


その中に今も残っている迷宮があれば、そこを経験値稼ぎに使おうと思ったのだが……。

運良く、当時の場所にそのまま残っている迷宮が1つだけあった。王都からもそれほど遠くない。


その迷宮は現在『イーリアス管理迷宮』と呼ばれているようだ。

昔は『始まりの迷宮』と呼ばれ、初心者の経験値稼ぎによく使われた場所だな。


暴力的なまでの経験値効率を誇り、数ある経験値稼ぎ場所の中でも最強と言われた狩り場だ。

ここが残っているなんて、運がいい。


今は、国によって管理されているようだが……国王の許可証があれば、入るのは簡単だろう。


「この『イーリアス管理迷宮』がいいと思うんだが、ここについて何か知ってるか?」


「イーリアスって……『ギャンブル迷宮』のこと?」


「確か、『ギャンブル迷宮』の正式名称ですね。有名な迷宮です!」


どうやらルリイとアルマは、行き先の迷宮を知っているらしい。

『ギャンブル迷宮』などという、妙な名前がついているようだが……どういうことなのだろうか。


「『ギャンブル迷宮』って、なんでそんな呼び方になってるんだ?」


「名前の通り、ギャンブルみたいな迷宮だからですね。自動で迷宮を上り下りできる装置がついているんですけど、その利用料がすごく高くて……」


「ちゃんと狩りをできれば大儲け! 早く撤退すれば大損! ……ってことで、ギャンブル迷宮って呼ばれてるんだよ! 利用料を取り返すために無理をして死んじゃう人も多いみたいだね……」


なるほど。それでギャンブル迷宮か。


自動で迷宮を上り下りできる装置というのは、恐らく前世の時代の『迷宮エレベータ』のことだろう。

前世の時代には、初心者などが訓練に使うような迷宮に、『迷宮エレベータ』と呼ばれる自動昇降機が設置されていた。


『迷宮エレベータ』の設置に関しては『楽をさせるから、初心者が軟弱になる』などという反対意見もあったようだが……俺は賛成だった。

適正階層より浅い場所での移動など、時間の無駄でしかないからな。

効率よく強くなりたいなら、『迷宮エレベータ』でも何でも使って適正階層に行って、できるだけ長く戦うべきだ。


「その装置って、古代文明の遺物か?」


「そうみたいです。迷宮の中にそんな物を作るなんて、すごいですよね!」


「昇降機は魔道具の知識さえあれば簡単に作れるから、迷宮の床さえ壊せればそんなに難しくないけどな」


やっぱり、『迷宮エレベータ』で合っていたようだ。

今の文明で、迷宮の中に自動昇降機を設置するような技術があるのは第二学園くらいなので、当然と言えば当然なのだが。


ちなみに第二学園の技術を使えば、5階層以内の『迷宮エレベータ』くらいなら作れるかもしれない。

ルリイがいれば、もう少し深い階層でも作れる。

『イーリアス管理迷宮』の『迷宮エレベータ』は確か99層まで通っているので、自分で作る必要はないのだが。


「でも、どうして『ギャンブル迷宮』なの? 確かにお金があれば潜るのは楽だけど、別に経験値を稼ぐのにいい場所って訳じゃないよね? 冒険者が多い迷宮だから、魔物もそんなに多くは倒せないみたいだし」


「魔物が少ないのは、ごく浅い迷宮の話だよな?」


「確か腕利きのパーティーでも、13階層とかだったはず! ……でも深い階層に入る人は少ないし、10階層あたりからはほとんど手つかずだと思うよ!」


……なるほど。

そういえば今の世界の迷宮攻略状況はそんなもんだったな。


「じゃあ余裕だな。行き先は27階層だ」


「27!?」


「今の実力なら、別に難しくないぞ。凄まじい量の経験値を稼いで、一気に強くなれる」


『始まりの迷宮27階層』といえば、前世の時代では最も有名だった狩り場の一つだ。

あの階層はかなり特殊な場所で、不用意に踏み込んだりすると危険なのだが、あそこに向いた魔法が使えると大量の経験値を簡単に稼げてしまう。


そのため、当時は狩り場争いなどが激しく、使うためには色々とルールがあったのだが……今なら独り占めだ。

経験値を稼ぐのに、さほどの時間はかからないだろう。


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