提督の憂鬱 作:sognathus
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あとは準備です。
提督「抽選のクジで残ったのは......」
長門「私と」
武蔵「私と」
初春「妾じゃな」
加賀「戦艦二人と駆逐艦、クジにしてはなかなか悪くない編成だと思います」
筑摩「残念ですけど仕方ないですね。こればかりは運ですから」
神通「皆さん、大佐の事をお願いしますね」
陸奥「長門、しっかり頼むわよ」
叢雲「初春もね」
長門「任せてくれ。運だとしても希望して選ばれたんだ。勤めは果たしてみせる」
武蔵「右に同じくだ。武蔵の名に恥じない働きをしてくるさ」
初春「心配無用じゃ。それは叢雲も分かっておるじゃろう?」
加賀「皆さん良い返事です。私からも大佐の事を宜しくお願いします」
提督「おい、なんか俺の扱いが初めてお遣いに出す子供のような気がするんだが」
加賀「それだけ身を案じているんですよ」
提督「そうか」
筑摩「あの、ちょっとよろしいですか?」
提督「何だ、筑摩」
筑摩「中将からの手紙では明日の昼までには本部に着くようにとの指示でしたが......」
長門「あ」
加賀「......ここから日本までの距離はかなりありますね。それなのに明日の昼までにとは一体......」
提督「その事なんだがな。迎えが来る」
武蔵「迎え? 海路......ではないな。どんなに速い潜水艦でも間に合うまい」
提督「恐らく複座式に改造した疾風だ」
長門「疾風......四式か」
筑摩「確かに疾風なら10時間もあれば着くとは思いますが、燃料が......」
加賀「空母ですか?」
提督「そうだ。途中、作戦行動中の給油用の空母が待機しているらしい」
初春「随分と準備がいいのう」
提督「昇進自体決めるのは本部だからな。それに合わせて元々作戦行動も取っていたんだろう」
陸奥「なるほどねぇ」
叢雲「手配したのは中将かしら」
提督「恐らくな」
加賀「という事は出発は今夜ですか」
提督「ああ」
長門「空か......初めてだな」
武蔵「なんだ。怖いのか」ニヤ
長門「かもな。でも楽しみでもある」
武蔵「そ、そうか......」
初春「なんじゃ、怖いのは武蔵殿じゃったか?」
武蔵「なぁ!? ば、馬鹿を言うな! 私はただ......」
陸奥「体重?」
武蔵「う......」
筑摩「一応、最大の戦艦ですからね......」
提督「お前達、当たり前だが艦装は外していくからな? そんなものを着けて飛べる筈がないからな」
武蔵「えっ」
提督「お前は俺たちを海に落とす気だったのか」
武蔵「い、いや、そんな! た、ただ......私は普段から艦装を着けていることが多いから......落ち着かないというか」
加賀「普通の女の子になるのが恥ずかしいようです大佐」
武蔵「か、加賀!」
叢雲「意外ね。武蔵さんって結構乙女だったのね」
長門「なぁ、一応それは武蔵だけに言っているんだよな? 戦艦でひとくくりにしてはいないよな?」
陸奥「なにこんな時に乙女アピールしようとしてるのよ......」
提督「お前達が艦娘である前に一人の女性であることは俺も承知している。だから武蔵、そんなに気にするな」
武蔵「あ、ああ......分かった」
長門「大佐、私には言ってくれないのか?」
陸奥「だから、自分から乙女アピールしてた人間が何言ってるのよ!」
初春「ふふ。これは道中の道のりは退屈しないで済みそうじゃ」
加賀「大佐、そろそろ支度の準備を。仰る通りなら迎えが来るまでもうあまり時間がありません」
提督「そうだな。分かった」
ね、眠いので続きは明日で。
多分次の話では本部に着いてますよ、うん。