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社説

空自F35墜落事故 原因を徹底究明し国民に説明を

2019年4月15日(月)(愛媛新聞)

  航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが、青森県沖の太平洋に墜落した。空自の次期主力とされる戦闘機であり、墜落事故は世界初だ。防衛省は事故原因を徹底究明し、国民に丁寧な説明を尽くさねばならない。

 一歩間違えれば市民が巻き込まれる惨事となっていた。「市街地に落ちていたらと思うと本当に怖い」という地元住民の不安や憤りは当然だ。岩屋毅防衛相は事故を陳謝し、残っている12機のF35Aの飛行を見合わせると説明している。事故の原因が特定されて再発防止策が明示されない限り、飛行の再開は許されない。

 F35はレーダーで捉えにくいステルス性に優れた戦闘機で米空軍仕様のA型、海兵隊仕様のB型、海軍仕様のC型がある。日本政府は通常離着陸型のA型を昨年1月、三沢基地に初めて配備し、先月に飛行隊を新設したばかりだ。

 事故時は4機で夜間の対戦闘機を想定した訓練をしており、2機と2機に分かれ、事故機が攻撃側の役割だった。基地を離陸してから30分もたたずに事故機の操縦士が「訓練中止」と無線で連絡し、約1分後に消息を絶っている。操縦士が直前に何らかの異常を感じたのは確かであり、機体トラブルや体調不良などの可能性が疑われる。

 事故機は過去に2回、飛行中の不具合で緊急着陸している。1回目は配備前の試験飛行で警報装置が作動し、2回目は三沢基地に配備後の飛行中、機体の一部で何らかのトラブルが起きた。防衛省はいずれも関連部品を交換した後、異常がないことを確認したとするが、今回の墜落との関連を詳しく調べる必要がある。

 調査の鍵を握るのが、フライトレコーダー(飛行記録装置)だ。ただ、現場海域は水深約1500㍍と深く、発見や回収の見通しが立っていない。さらにF35は機密性が高く、飛行記録が取り出せたとしても米側主導で解析するとみられ、調査が長期化する恐れもある。事故の全容解明を第一に考え、日米で連携を深めるよう求めたい。

 F35の調達、配備計画に影響を与えるのは必至だ。政府は、老朽化したF4戦闘機の後継機となるF35Aを105機導入する方針を決めている。1機当たりの取得価格は2018年度の契約ベースで約116億円に上る。短距離離陸・垂直着陸が可能な  F35Bの42機を含めて計147機態勢となる計画だ。

 F35の大量調達は昨年、安倍晋三首相がトランプ米大統領に約束したという経緯がある。岩屋氏は事故後、「方針を変更するに足る情報はない」と予定通り配備を続ける考えを強調したが、機体に欠陥がある可能性も否定できない。米国に配慮して安全性を置き去りにしてはならず、計画は棚上げするべきだ。墜落事故を踏まえ、調達計画の妥当性について国会で議論を深めなければならない。

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