【プロ野球】日本ハム・宮西が史上初の300ホールド記録2019年4月14日 紙面から
◇日本ハム3-0ロッテ日本ハムが勝率5割に復帰した。3回に大田の2点適時打で先制し、6回に失策で1点を加点。バーベイトは5イニングを無失点で来日初勝利。無失点リレーで逃げ切り、秋吉は2セーブ目。ロッテは散発4安打で三塁を踏めず3連敗を喫した。 日本ハムの宮西尚生投手(33)が13日、札幌ドームでのロッテ2回戦で今季6ホールド目を挙げ、プロ野球史上初となる通算300ホールドを達成した。3-0の7回に登板し三者凡退に抑えた。初ホールドは2008年4月4日のオリックス戦。ホールドは2005年からセ、パ両リーグで導入され、中継ぎ投手が同点もしくはセーブが付く条件を満たす状況で登板し、1死以上を奪い、リードを保つか同点のまま降板した場合に記録される。 金字塔を打ち立てた男の表情は誇らしかった。「いつも通りです」。抑えて当たり前。打たれたときこそクローズアップされる。勝ち試合を任される宿命と戦い続けてきた左腕の誇りが言葉に詰まっていた。日本ハムの宮西が前人未到の300ホールドを達成した。 生き様と技術が詰まった11球だった。連投で迎えた今季7試合目のマウンド。準備から万全ではなかった。「ブルペンで投げて疲労がたまっているなと感じた。手術明けだしダメージはある」。3点リードの7回は3番中村から。前夜は4番角中からだった。「昨日はしっかり投げた球が結構飛ばされた。同じ打者と対戦することになるし」。ここからが真骨頂だ。 「ボール2個分、腕を下げた」。球が出てくる角度を変えることで打者の目線を惑わした。中村を外角直球で中飛。続く角中には遊ゴロ、最後はレアードをスライダーで一飛に仕留め三者凡退。「真っすぐが速いわけでも変化球がすごいわけでも、コントロールがビタビタでもない。唯一、生きていくためにできるのが、腕の位置を器用に変えられること」。オーバースロー、スリークオーター、サイド。これまでの野球人生でさまざまな投げ方を経験したことが、状況によってフォームを変えられる土壌をつくった。 目標にする鉄腕がいる。昨年引退した岩瀬仁紀さん(元中日、現本紙評論家)は新人から15年連続50試合登板を果たした。宮西は12年連続をかけて今季に臨んでいる。さらに通算登板数は636。33歳の宮西には1002登板にチャレンジする資格がある。「岩瀬さんの記録は見えそうでくそ遠い。えげつない数字なので。でもそれを目指すのが1つのモチベーション。だから心が折れない」。背番号25の果てのない旅は、まだ途中だ。 (土屋善文) <宮西尚生(みやにし・なおき)> 1985(昭和60)年6月2日生まれ、兵庫県出身の33歳。180センチ、79キロ、左投げ左打ち。市尼崎高、関学大を経て2008年に大学生、社会人ドラフト3巡目で日本ハムに入団。1年目からこれまで、全て救援で636試合に登板。09年、12年のリーグ制覇、16年の日本一に貢献した。昨季まで11年連続で50試合以上に投げ、昨年7月には山口哲也(巨人)を上回るプロ野球新記録の274ホールドをマークしていた。17年には、WBC日本代表に選出され、4試合に登板した。
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