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CONNECT:幼馴染が女勇者なので、ひのきの棒と石で世界最強を目指すことにした。 作者:のきび
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獣人は大食漢

 夜通しマイラの投てきの音が響き、結局俺は寝ることができなかった。


 そして辺りの木々は引き抜かれ、すっかりハゲて草原のような状態になっている。遠くに杭が何本も立っているのはすごくシュールだ。


「全員レベル30か……」


 夜通しマイラが倒した魔物の数は246体。ここら辺はそれほど魔物がいないのだがキャンプ地の魔物の死体から出る血の臭いとマイラが投擲で倒した死体から出る血の臭いが撒き餌となって大量の魔物や野獣を呼び寄せた。


「ふぅ~良い汗かきました」


 マイラがすごく良い笑顔で俺に笑いかける。もちろん心が笑っていないので、その笑顔は俺の背筋を凍らせた。


「俺たち何もしてないのにレベル上がるんだな」


「なにもしてない? イチャイチャしてたじゃないですか」


 マイラはふふんと言ってそっぽを向く。


「いやいや、そんなんでレベル上がらないでしょ!」


「はぁ~イチャイチャしてるのは認めるんですね! 私が一生懸命魔物退治してるのにイチャイチャしてたんですね! 最低ですねがー君」


 ああ言えばこう言う。マイラのツッコミはとどまることを知らない。


「おはよう、ガリウス、マイラ」


 俺たちのやり取りがうるさかったのか、熟睡していたミスティアが大きく伸びをして目を覚ます。


「お。おはようミスティア」


 その伸びの動作が、なぜかいやらしく思えて俺は目を泳がす。


「良く眠れたようですねミスティア」


 マイラのその言葉にはイヤミが多分に含まれている。


「うん、なんか村を出てから久々の熟睡だったよ」

「あれですかね。一緒に寝ていたがー君からガリウス成分でも吸収したんですかね?」

「あーそうかも!」


 そう言うとミスティアはマイラにニコリと笑った。良いことを教えてありがとうと言う意味を込めて。


 残念、マイラのイヤミはミスティアには効果がないようだ。


「……良いにおい」


 ミスティアが鼻をクンクンとさせ匂いの出所を探る。そう言えばあれほど血の臭いがしていたキャンプ地がいつの間にか死体が一つも無く。焚き火には鍋がかけてありスープが煮込まれていた。


 ミスティアは鍋の前にいくとオアズケをされた犬のようにマイラのことを待つ。


「腹ペコキャラは卑怯ですよ」


 マイラは空間からお椀を出しそこにスープをよそうとミスティアに差し出した。


「お肉は?」

「スープに入ってますよ?」

「……串焼き、骨付きでも化」


 ミスティアはスープだけじゃ物足りないと抗議の声を上げる。


「どれだけ腹ペコなんですか」


 マイラがそう言うとミスティアは捨てられた子犬のような顔で俺とマイラを交互に見る。


「わ、わかりましたよ! 焼きますよ。焼きます! そういうあざとい行為はやめてください!」


「ミスティア、朝からそんなに肉食べるの?」


「うん、朝は肉だよ。クロイツがいつも焼いてくれるの」


「クロイツってだれだい?」


「私の大事な友達だよ」


 大事な友達か、俺以外にそういう人がいると言うのは妬けるが。なんでも恋愛に結びつけるのは良くないな、本当に友人なのだろう。


「がー君、なんかミスティア幼児退行しててかわいいですね」


「あー、俺もそれ気になってた。まるで村で一緒に過ごしてた頃のミスティアそのままだ。何かの精神攻撃を受けてるんだろうか?」


 その言葉にマイラが呆れ顔で俺を見る。


「……アホですか、がー君。どう考えても、好きな人に一晩中だかれて寝て安心しきってるやつですよ。張り積めてた糸が緩んでるんでしょうね。まあ言うなればがー君から精神攻撃受けてるんですよ」


「お、おれ?」


「すみにおけませんよね」


 そう話してる間もミスティアは肉から目を離さない。


 どうやらミスティアはおなかがすいてると頭の中はお肉のことで一杯になるらしい。


「マイラもう食べて良い?」


「まだ生焼けです」


「もう焼けた?」


「まだです」


「もう――」

「まだですったら!」


「ヴぅーー」


 肉を食べさせてくれないことにミスティアは不満の声をあげる。


「ミスティア、いつからそんなに肉を好きになったの?」


 昔のミスティアはそれほど肉が好きじゃなかった。たぶん獣人は人肉を食べると言うのが原因だろう。だから自ら進んで肉は食べなかったのだ。


「クロイツがね。クロイツの焼く肉がすっごく美味しいの!!」


「なるほど、餌付けされてるなこれ」


 心を掴むには胃袋からと言う話を聞いたことがある。つまりミスティアはランスロットだけじゃなくそのクロイツからも狙われていたのか。


 許すまじクロイツ!


「どうぞ、ちょうど良い具合に焼けましたよ」


 焼けた串焼きをマイラはミスティアに渡す。


「ありがとう!」


 ミスティアはうれしそうに肉にかぶりついたが、次の瞬間顔を歪ませる。


「……クロイツのお肉じゃない」


「私はマイラですし。マイラのお肉ですよ。まあ、私の肉をこそぎ落として焼いた訳じゃないですけど」


「美味しくないの?」


 俺のその言葉にマイラが憤慨する。


「ちょ! がー君。こう見えても私の焼き肉はスーテキ肉の匠、松坂ベコさんがうなずくレベルですよ!」


 だれだよ松坂ベコ……。


「不味くないけど。クロイツのお肉は違うの、体に染み込むの」


 なにそれ、体に染み込む肉って逆に怖いんだけど。


「ふわ~ってなってね、ぴか~ってなってね幸せになるの」


 ミスティアは身ぶり手振り、オーバーアクションで言うが全く伝わってこない。


「ちょっと、なにいってるかわかんないんですけど。それ変な薬使ってないですか?」


 マイラもミスティアの言うことが理解できないようで混乱している。


「う~ん。いつも仕上げに魔法の粉とか言って白い粉を振りかけてた」


 これはもしかするとすべての黒幕がクロイツなのか? クロイツのやつ薬でミスティアを支配しようとしてたんじゃ。いや、待てよ。もしかして精神汚染をしていたのはそのクロイツってやつか? ミスティアのこの態度を見ても異常だ肉がそんなピカーとかふわーとか、そんな効果を出すわけがない。


 俺はマイラに耳打ちをしてそのクロイツが怪しいことを伝えた。


「プッ! え、がー君、そのクロイツが怪しいって言うんですか? え、え、え~」


 正直マイラが俺を笑う理由がわからないし笑われる言われもない。


「俺そんなにおかしいこと言ったか?」


 マイラはさすがに笑ったのは自分が悪いと思い、すぐに謝ってくれたがクロイツだけは絶対に無いと言う。


「じゃあ、クロイツじゃなきゃ誰なんだ?」


「仮にそれを私が知っていたとして、犯人を言ったらがー君はそいつのところに行くでしょ。仕返しをしに」


「……」


「だから知っていたとしても教えません。まあ知らないんですけどね」


 マイラの言いたいことは分かる。弱い俺が行ってもただ殺されて終わりだろう。


 だけどせめて理由は聞きたい、なぜミスティアにこんなひどいことをした理由を。


 マイラは嘘をついているかもしれない。だが、勇者だとしても本当に洗脳した奴は分からないの可能性もある。


 犯人を知りたい、その欲求はある。だがミスティアには聞きたくないと言うのが本音だ。ミスティアにはたぶん辛い思い出だろうから。


「美味しかった! ごちそうさま!!」


 俺たちがクロイツのことを話していると、いつの間にかミスティアは鍋のスープと肉をすべて完食していた。汁一滴残さず、すべてだ。


「「文句言っておいて完食かい! って言うか全部食べたんかい!!」」


「ふえぇ!? あれ? 私なんで?」


 どうやら幼児退行は腹一杯食べたおかげで治り、いつものミスティアに戻った。幼児退行から戻ってきたミスティアが俺とマイラと鍋を見比べて自分が何をしたか悟って冷や汗を流す。


「ごめん、私みんなの分食べちゃった?」


「良いんですよ、ミスティアが劣化亜人だと言うことを忘れてました。普通の人より食べるんですよね。私達はそれほど食べませんから気にしなくて良いですよ」


 そうか、ミスティアの両親は大食漢だった。なら、その子供のミスティアも大食漢でもおかしくない。


 幼少期も俺がペットにとって来た鳥を食べてしまったし、そう言うことだったのか。


 俺がミスティアの大食漢に一人で納得していると、マイラは昨日の残りの肉を俺に手渡す。


「ありがとう。それと、さっきは少し言い過ぎた、すまない」


「良いんですよ、がー君にとってミスティアはそれだけ大切な人だと言うことなんですから」


 マイラは笑って許してくれるが正直心が痛い、こんなに優しい子に八つ当たりしたんだから。


「うん」


「ただ、何度も言いますがミスティアはあなたが傷つくようなことになる事態を望んでませんよ」


 13歳の子に諭されるなんて恥ずかしい限りだ。マイラは俺やミスティアのことを大切に考えてくれている。


 俺はマイラに心からお礼をいった。すでにマイラには返せないほどの恩ができてしまった。


 いつかちゃんと返そう。


「そうだな、心に止めておくよ。ありがとう」


「どういたしまして」


 マイラはそういうととても素敵な笑顔ではにかんだ。


はいブクマ ポチッ!

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