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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第101話 最強賢者、当てられる

俺の発言で、周囲の空気が固まった。


「が……学園をやめるって、どういうこと?」


「学園をやめるということだ」


俺の答えに納得できなかったのか、アルマが同じことを聞き返す。

ルリイも、固まっているようだ。


確かに、少し唐突だったかもしれない。

元々は、ギルドに登録したらすぐに、俺は学園をやめるつもりだった。


ただ、今の状況のまま放っておくと人類が滅んでしまいそうだったため、手を出すために一時的に学園にとどまったのだ。

しかし、結界が安定的に動き始め、ちゃんとした環境で無詠唱魔法を訓練できる環境が整えば、もうその心配はなくなるだろう。


「えっと……飛び級?」


「いや、退学って扱いになるだろうな。別に卒業資格が欲しくて、この学園に来た訳じゃないし」


その発言を聞いて、ルリイ達が考え込む。


「よく考えてみるとマティ君って、先生達に教わることがなさそうですもんね……」


「むしろ、先生達に教えてた気が……」


確かに、教わったことはほとんどなかったかもしれない。

今の世界の常識は多少教わることができたが、俺もすでに今の世界の常識はあらかた身についたので、すでに教わる必要はなさそうだし。


そんなことを話していると、校長の姿が見えた。

ちょうどいいから、校長にも話しておくか。



「む、マティアスか。こっちに向かってきたようだが……何か用か?」


俺が近付くと、校長が先に声をかけてきた。

話が早いな。


「はい。この学園を――」


「ああ。退学の件か。結界が完成したら、学園を出るつもりなんだろう?」


……本当に話が早いな。

もしかして、すでに予想されていたか。

特に、そんな素振りを見せた覚えはなかったのだが。


そんなことを考える俺を前に、校長が言葉をつなぐ。


「その様子を見る限り、どうやら当たりらしいな。……当たり前といえば当たり前か。我が校の教師陣はマティアスに教えられるばかりで、何一つ教えられなかったからな。校長として、ふがいないばかりだ」


そこまで、卑下することはないと思う。

……少し、擁護しておくか。


「そんなことはありません。ここの先生は、俺に常識を教えてくれました。おかげで俺も、今や立派な常識人です」


俺の発言を聞いて、校長はさらに深刻な顔になった。


「……本当に何一つ教えられず、ふがいないばかりだ」


なぜだろう。

この学園の先生は、しっかりと俺に常識を教えてくれたというのに。

学園は、間違いなく役に立ったはずなのに。


そんなことを考えていると、また校長が口を開く。


「だが私は、マティアスを退学にするつもりはない。こういう状況を想定して、ベストな選択肢を考えておいたからな」


「……それは、引き留めるってことですか?」


そうなると、少し面倒だな。

校長は、国王にも気軽に会えるレベルで、この国と結びついている。

無理矢理学校を出て、敵対したりすれば――


「いや、引き留めはしないぞ。ただ、籍だけ学校に置いておいてほしいということだ」


「籍だけ?」


「ああ。そうすれば学園はマティアスの実績を盾に、自由に動いて効果的な教育を行うことができるし、王立学園の学園生という扱いであれば、私や国からも色々と便宜を図りやすい。お互いにとって、損はない選択だと思うが」


つまり、バックにつくから、名前を貸せということか。

確かに、悪くない提案だ。


「その提案、受けましょう」

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