チウラムの測定方法
1 試薬
- (1) 水
- 日本工業規格K0557に規定するA3のもの
- (2) ジクロロメタン
- 日本工業規格K8161に定めるもの
- (3) アセトニトリル
- 日本工業規格K8032に定めるもの
- (4) メタノール
- 日本工業規格K8891に定めるもの
- (5) 硫酸ナトリウム(無水)
- 日本工業規格K8987に定めるもの
- (6) 塩化ナトリウム
- 日本工業規格K8150に定める塩化ナトリウムを250〜450℃で2〜6時間加熱し、デシケーター中で放冷したもの
- (7) 燐りん酸二水素カリウム
- 日本工業規格K9007に定めるもの
- (8) 燐りん酸
- 日本工業規格K9005に定めるもの
- (9) 燐りん酸緩衝液(50mmo1/l)
- 燐りん酸二水素カリウム6.8gを水1lに溶かし、燐りん酸を加えてpHを3.0に調製したもの
- (10) チウラム標準原液(1mg/ml)
- チウラム標準品0.1gを採り、少量のアセトニトリルに溶かし、全量フラスコ100mlに移し、アセトニトリルを標線まで加えたもの(この原液は調製後、直ちに冷凍保存する。保存期間は90日を限度とする。)
- (11) チウラム標準液(10μg/ml)
- チウラム標準原液1mlを全量フラスコ100mlに採り、アセトニトリルを標線まで加えたもの(使用時に調製する。)
- (12) チウラム標準液(1μg/ml)
- チウラム標準液(10μg/ml)10mlを全量フラスコ100mlに採り、アセトニトリルを標線まで加えたもの(使用時に調製する。)
2 器具及び装置
- (1) 分液漏斗
- 容量2lのものであつて、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
- (2) 試験管
- 容量10〜20mlのものであつて、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
- (3) 三角フラスコ(共栓)
- 容量500mlのものであつて、あらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
- (4) マイクロシリンジ
- 容量10〜50μlのもの
- (5) 固相カラム
- スチレンジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン系ゲル)又はこれと同等の性能を有するもの200〜1,000mgを充てんしたものに、アセトニトリル5ml及び水5mlを順次緩やかに通し、調製したもの
- (6) 高速液体クロマトグラフ
-
- (a) 分離管
内径3〜6mm、長さ150〜250mmのステンレス鋼製のもの - (b) 充てん剤
ポリウレタン系中極性ゲルを充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するもの - (c) 移動相
アセトニトリルと燐りん酸緩衝液(50mmo1/l)を体積比55対45の割合で混合し、超音波処理等で十分脱気したもの - (d) 流量
毎分約1mlとしたもの - (e) 検出器
紫外吸収検出器で波長272nmを使用することができるもの - (f) カラム槽
温度を40〜45℃に保つことができるもの
- (a) 分離管
- (7) 振とう機
- (8) 濃縮器
- クデルナダニッシュ濃縮器又はロータリーエバポレーターであつて、濃縮時における試料溶媒に接触する部分のガラス器具類をあらかじめ水及びアセトンで洗浄したもの
3 試験操作
(1) 前処理
- (a) 溶媒抽出(注1)
-
- (ア) 試料1lを分液漏斗に採り、塩化ナトリウム40g及びジクロロメタン100mlを加え、振とう機を用いて約10分間振とうする。
- (イ) 放置後、ジクロロメタン層を三角フラスコ500mlに移す。分液漏斗の水層にジクロロメタン50mlを加え、再び振とう機を用いて約10分間振とうし、放置後、ジクロロメタン層を先の三角フラスコに合わせる。
- (ウ) ジクロロメタン層に硫酸ナトリウム(無水)約30gを用いて脱水した後、濃縮器を用いて約5mlに濃縮する。
- (エ) 濃縮液にアセトニトリル約50mlを加え、濃縮器を用いて、5mlに定容する。
- (オ) 空試験として水1lを分液漏斗に採り、(ア)から(エ)までの操作を行う。
- (b) 固相抽出(注2)
-
- (ア) 塩酸(1+11)でpHを3.5に調製した試料500mlを固相カラムに吸引しながら毎分10〜20mlで流下させる。
- (イ) 水10mlを流し、カラムを洗浄した後、約10分間吸引又は遠心分離等で水分を分離除去する。
- (ウ) 固相カラムの上端からアセトニトリル3mlを緩やかに通し、チウラムを溶出させ、試験管に受ける。
- (エ) 溶出液に窒素ガスを緩やかに吹き付けて1mlに定容する。
- (オ) 空試験として水500mlを用いて、(ア)から(エ)までの操作を行う。
(2) 分析
- (a) あらかじめ使用する分離管に、チウラム標準液20μlをマイクロシリンジを用いて採り、高速液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、チウラムの保持時間に相当するピークの位置を確認しておく。
- (b) 溶媒抽出では(1)の(a)の(エ)、固相抽出では(1)の(b)の(エ)で得たアセトニトリル濃縮液20μlを(a)と同じ操作を行つて、クロマトグラムを記録し保持時間が標準物質と一致していることを確認し、保持時間に相当する位置のピークについて、ピーク面積又はピーク高さを測定する。
- (c) あらかじめ4により作成した検量線を用いてチウラムの量を求め、試料中の濃度を求める。
- (d) 空試験として、溶媒抽出では(1)の(a)の(オ)、固相抽出では(1)の(b)の(オ)で得たアセトニトリル濃縮液についても(b)の操作を行つて、チウラムの保持時間に相当するピークが検出され、そのピーク面積又はピーク高さが定量限界値の0.20以上である場合には、前処理から再度操作を行う。
- (注1)
- チウラムはジクロロメタン中で分解するので、直ちに(エ)までの操作を完了させる。チウラムはアセトニトリル中で分解しない。
- (注2)
- 浮遊物が多いときはあらかじめろ過する。浮遊物はアセトニトリルで洗い、この洗液を固相カラムの溶出液に合わせる。
4 検量線の作成
- (1) チウラム標準液(1μg/ml)1〜10mlを全量フラスコ10mlに段階的に採り、アセトニトリルを標線まで加える。これらの溶液の20μlを高速液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録し、チウラムの量とピーク面積又はピーク高さとの関係線を作成する。
- (2) 検量線の作成は試料測定時に行う。
備考
この測定方法における用語の定義その他でこの測定方法に定めのない事項については、日本工業規格に定めるところによる。