自治体も新元号「令和(れいわ)」に合わせたシステム改修を急ぐ。ただし婚姻届をはじめとする一部の書類の年号表記はしばらく「平成」のままにして、住民や職員が修正するケースが多い。システム改修と手作業を併用する、新元号対応の現実策を選んだと言えそうだ。
自動車税と固定資産税の通知書は平成のままです――。東京都主税局は2019年5月1日以降に送付する一部の通知書類の元号表記に、当面は「平成」を使うと決めた。
同局は自動車税と固定資産税の納税通知書を、それぞれ5月7日と6月3日に発送する。発送枚数は合計で570万通に上る。システム改修の負担に加えて、改修とテストを終えてから書類の印刷・封入をしていては間に合わないと判断し、令和対応を見送ったという。
都の主税局は仮元号を使ったシステムの修正・テスト自体は2019年3月末に終えている。これから4月中に印刷処理などのソフトウエアを更新した後、仮元号を令和に置き換えて改修作業を開始する計画だ。
税金の帳票に関する200種以上のアプリケーションが対象である。都が委託した企業が5月中にシステム改修を終わらせ、職員が6月いっぱいで改修結果を確認する。これをもって一通りのシステム改修を終える見通しだ。発送数が少ない通知書については、6月から新元号の令和を印字して送付するという。
東京都交通局は地下鉄やバスの料金システムの年号を既に和暦から西暦に変更し、2018年10月いっぱいで改修を済ませた。
港区と品川区、プログラム修正は4月末で完了へ
港区は2019年4月末までに「元号を利用するシステムは全て修正する」方針だ。具体的にはロジック内に年号を使っているシステムのプログラムを修正し、平成を令和に変える。そのうえで出力結果に問題がないか、10連休中に確認する。品川区も同様に4月中にプログラムの修正を終えて「5月1~2日に確認作業を済ませる」。
システムのプログラムは修正するが、出生届や婚姻届といった帳票のうち印刷済みのものについては年号部分を平成にしたまま使い続ける。これらの帳票の取り扱いを管轄する法務省は全国の自治体に対して、平成を印字した帳票を5月1日以降も当面使い続けてよいと通達済みだ。平成を印字した帳票の在庫が大量にあるため、令和に書き換えた帳票を印刷し直したり差し替えたりする作業を急ぐとかえって混乱するとの判断からだ。在庫がなくなった後は令和表記の帳票を印刷して使う。
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