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(なつ)お願いがあります。
天陽君を助けて下さい。
土に勝たせてあげて下さい!
(泰樹)無理だ。
土が悪すぎる。
天陽君は 一人で頑張ってるの!
一人で 土を耕してるの!
天陽君を 誰が助けてくれるの!?
♪~
今日 その… 土 見に行く。
えっ?
♪~
ありがとう! おじいさん!
分かったら さっさと働け。
はい!
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
おじいさん!(天陽)こんにちは。
どう?やっぱり ダメだ。
この土では いくら耕しても作物は育たん。
本当に ダメなの?
このままでは ダメだ。
どうすればいいの?
このくらいの土 わしはなんぼでも開墾してきた。
大丈夫よ。 それなら大丈夫よね。
天陽君だって頑張れる。うん。
まあ 待て。
お前が頑張れても 親は?
今夜 お前の親に会いに来る。 言っておけ。
はい。おじいさん ありがとう。
搾乳の時間に遅れる。 行くぞ。はい。
それじゃ 天陽君 今夜 またね。
うん。
♪~
何じゃ?
何でもない。
<私は このころからおじいさんのそばにいると何も話さなくても 何となく誇らしい気持ちになるのでした>
そして なつたちは その夜天陽君の家に集まりました。
(富士子)あの~ 奥さんこれ ちょこっとだけどニシンの干物と ジャガイモと自家製のバターです。
(タミ)どうも すいません。ありがとうございます。
助かります。
ほんのちょこっとで ごめんなさいね。
バターは たまたま作っただけで。ジャガイモゆでてそれにつけて食べてみて下さい。
おいしいよ とっても。うん。
(剛男)あの~ 東京から来てこっちの冬は こたえましたでしょう。こう言っては なんですがこの家で よく我慢なさいましたね。
あなた方は 強い。
(正治)河原で 石を拾ってきてそれを焼いて ぼろきれで包んで抱いて眠りました。
そうですか…。それでも 背中は 凍るように冷たくて実際 起きると 子どもの背中に雪が積もっていたことがあります。
(剛男)ああ…。(正治)もう あんな思いはさせられません。
今年が ダメならここを離れるしかありません。
(剛男)どうです?牛飼いは考えませんか?
牛飼い?(剛男)酪農です。今 こっちでは 農業と酪農の両方やってる人が増えてるんです。
牛の糞尿が いい肥料になりますしどっちかが ダメな年でもどっちかで補えるようにしてるんです。
それは分かりますが でも どうやって牛を 手に入れればいいんですか?
それは…。
うちの息子が お宅のお嬢さんに何を言ったか…。ここに… ここにいたいと言ったかもしれませんがそれは 子ども同士の話ですよ。我々が 真剣に話すことではないでしょう。
なぜ 真剣に話してはならん?
父さん。
わしは ここにいる なつに言われてここに来た。この子に言われなければ動きはせんかった。
だから何です?それは そちらの事情でしょう。
そうですよ お義父さん。わしの事情ではない。
なつの事情だと言っとるんだ。
それを 真剣に聞いてやることがなぜ いかん。同じようにあんたの息子にも 事情があるだろう。それを 真剣に聞いてやれとそう言っとるんじゃ。
(正治)何を言いたいんですか?
ここの土は ダメだ。
今年も 作物は育たんだろう。
来年も ダメじゃ。
ちょっとやそっとのことで土は よくならん。
お義父さん 本当に何が言いたいんですか?
そんなに落ち込ませて!
それでも やる気があるなら 手はある。3年か… 5年は かかるかもしれん。それでも やる気はあるか?
むちゃを言わないで下さい…。
僕はやりたい!お父さん それでも 僕はやりたいよ!
僕が頑張るからお父さんは 今の仕事を続けてていいよ。
僕がやる!
天陽 みんなの事情も考えろ。
事情なんか くそ食らえだ!
大人の事情で この子らはどうなった?
この子らに 何をやったんだ 大人は!
今は せめてこの子らが 何をやりたいのか子どもの話だと思わず そのことを今こそ きちんと大人が聞いてやるべきだろう。
♪~
父さん…。
(陽平)お父さん 天陽は 本当に農業がやりたいんだよ。
馬が死んだ時一番悲しんだのは天陽なんだ。
あなた… あなただって本当は ここにいたいのよね?
離れたくはないのよね?
私たち家族のために諦めようとしてくれてたのよね?
あれだけの覚悟をしてここまで来たんだもの!
♪~
皆さん どうか よろしくお願いします!
まずは あの切り株を取り除く。
それから 川上から水を引いてこの土の酸を洗い流す。
まあ それには 何年もかかるだろう。
何年かかっても ここを豊かな土地に生まれ変わらせる!
この荒れ地を 我々の子孫に誇れる美しい我が里の風景に変えんじゃ!
(一同)オ~!
♪~
起こせ! 起こせ! 起こせ!
そ~りゃ!
そ~りゃ!
頑張って!頑張れ~!
そ~りゃ!
そ~りゃ!
天陽!ううっ… そ~りゃ!
そ~りゃ!
そ~りゃ!動いた!
<私には まるで その人たちが歌っているかのように見えました。開拓者の力強い歌が聞こえてくるようでした>
そ~りゃ!起こせ!
そ~りゃ!
もっとだ! もっと引け! もっと!
そ~りゃ!
♪~
うわっ…。
馬小屋は片づけたか?はい!
これが お前の馬だ。畑が出来上がる頃にはよく働くようになるべさ。
お金は?
お前が この馬を育てて稼いだら 返せばいい。
はい!
おい… どうした? なつ。
おじいちゃん 大好き。
フフフ。
ハハハハ…。
♪~
そして 9年の月日がたちました。
♪~
天陽君!
おう なっちゃん!
なつの人生は まだまだ これから。
今は 青い春を迎えたばかりです。
ああ なつよ 大いに生きよ。
来週に 続けよ。