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 景気の息切れがはっきりしてきた。政府・日銀は予断を持たずに経済動向を見極め、可能な対応策を熟慮すべきだ。

 昨日発表された日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景気判断の落ち込みがはっきりした。中国の景気減速が輸出の減少につながっている。

 景気循環の判断の基礎になる景気動向指数も低下傾向が続いている。数字の上では、数カ月前に景気が山を越えて後退局面に入った可能性が高いというのが現状だ。

 一方短観では、非製造業の景気判断は大企業が微減で、中堅、中小企業は横ばいだった。設備投資も18年度は高水準で推移し、19年度の計画も、17、18年度ほどの勢いはないものの、底堅さを保っている。

 総じてみれば、外需が変調する一方で、内需は消費、投資ともに踏みとどまっている。両者の綱引きのバランスが、今後どちらに傾くのか。正念場にあるといえるだろう。政策当局は、従来の見方に拘泥せず、冷静で遅滞のない判断と情報発信をすることが求められている。

 資本主義経済では景気循環が避けられないのがこれまでの経験だ。だが、上下への行きすぎを抑えて景気の安定化を図ることも欠かせない。

 このところの外需の変調の背景には、米中の貿易摩擦や英国の欧州連合離脱といった国際政治的な要因もある。それぞれ根深い問題で、展開によっては今後、世界経済の足をさらに引っ張る可能性もある。

 日本は6月に開かれるG20首脳会議の議長国だ。国際協調体制を再確立し、経済成長維持に向けて各国が足並みをそろえるよう、努めなければならない。

 加えて、内需の足腰を強めることが必要だ。増勢は一段落したとはいえ、企業の利益水準は引き続き高い。消費の裏付けになる家計の可処分所得を高めるためにも、好業績の企業は、積極的な賃上げを続けるべきだ。

 過度に萎縮して人材や設備への必要な投資を怠れば、景気の腰折れを招くだけでなく、企業自体の中長期の成長も遠のきかねない。経営者の判断が問われる局面だ。

 政府・日銀のマクロ経済政策は余力が乏しい。先行き景気が急変した場合にどのような対処が可能か、コストや副作用も勘案しつつ考えておくべきだ。

 例えば、消費税率引き上げに伴う対策として計画されているキャッシュレス決済でのポイント還元は仕組みが複雑で、消費底支えへの効果を十分に発揮できるか、懸念が残る。貴重な財源をいかに有効に利用できるか、改めて検討すべきだろう。

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