犯罪者インタビュー:「盗品やヤバいブツを売るリサイクル業者」に話を聞いてみた
どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
ゴミほど安く手に入り、売りやすいものはない――こんな時代に右肩あがりに利益を伸ばしているのがリサイクルショップです。
パソコンやテレビ、洗濯機、冷蔵庫、調理器具、家具、食器、衣料、ゲーム、フィギュアにいたるまで、ありとあらゆるモノが非常にお求めやすい価格で手に入ります。誰しも一度は足を運んだことがあるのではないでしょうか。
1,000億円マーケットにまで成長したこの業界。大手リサイクルショップチェーンや高級ブランドを扱っている質屋系のお店では安定の業績を保っています。
今回、お話を聞いたのは現役でリサイクルショップを経営しているIさん(48歳)。一体彼はどのようにして、商売をしているのでしょうか?
リサイクルショップのはじめ方
丸野(以下、丸)「Iさん、リサイクルショップの業務内容を教えてください」
Iさん「ゴミを拾って、お手軽に店をはじめられるというわけではありません。リサイクルショップというのは飽和状態なので、その中で勝ち残るには新品に見えるほどメンテナンスした品物を並べなければいけません。お客さんが気軽に入れる店舗管理、安定供給するために商品確保のルート作りなど以外にやることが多いわけです」
丸「ほほう」
Iさん「それに、この業界に巣食うブラックな面々との癒着など裏の部分が非常に多いですね。この商売はコツさえ掴めばお宝を見つけることは簡単です。お宝=金ということです。真っ先に取得しなければいけないのが、盗難品の発見や犯罪の予防検挙につながる古物営業法を学んで実践する“古物免許”です。美術品類や自動車、皮革・ゴム製品類など許可証は13品目に区分されているんですが、これは一定条件を満たして警察の生活安全課で申請すれば、誰でももらえるものです」
丸「誰でも取得できるものなんですね」
Iさん「ええ。ショップの形態は、衣料品を専門にした【ファッション系ショップ】、ゴミ問題を提唱する【環境系ショップ】、マニア・コレクターをターゲットにした【骨董おもちゃ系ショップ】などに分かれますが、私の店は何でも売る【総合系ショップ】。次に手を付けるのは、フリーマーケットやディスカウントショップ、現金問屋、葬儀屋、弁護士事務所、引越し屋へのパイプ作りをします」
堅い仕入れルートの確保ですべてが決まる
丸「パイプ作りとは?」
Iさん「仕入れ方法は、客・業者からの委託と買取りが一般的ですが、取り込み詐欺を行った人間から買い取りをすることもあります。そういう人間は、計画倒産で会社を潰した会社経営者が多く、売れ筋のパソコンを大量に取り込んで、支払いをしないまま、うちが買い取るカタチを取りますね」
丸「なるほど。何掛けで買い取るんですか?」
Iさん「相手も叩けばホコリがでる体なので、市価の20%くらいでの現金買取になりますね。それは街金と倒産整理を専門に請け負う弁護士と手を組んでやってます。現金化しやすい商品を指定して取り込むわけです。中古屋やバッタ屋は、人の不幸と密接の関係にありますから、不幸のニオイを嗅ぐ嗅覚も必要になります。すべては仕入れ網で決まります。古物商っていうのは裏の顔が多いんです」
丸「それって(取り込み詐欺などの)犯罪に加担しているんですよね?」
Iさん「まぁ、そういうことになりますが。一部の経営状態のいいショップでは当然といえば当然です」
盗人を手なずけ、ルートをさらに拡大
Iさん「夜逃げした住民の後始末や孤独死した老人の家のモノ、何でも商品にガラリと変わります。その上、ホームレスともつながっているんですよ」
丸「ホームレスですか?」
Iさん「はい。街をぶらついて何でもかんでも拾ってくる“拾い屋”は、時々ですが、とんでもないものを拾ってくることがあります。一度、某省庁の軍事データが入ったPCと役所の住民データが入ったHDDを拾ってきたことがありました。防衛庁や役所は絶対に認めないでしょうけど、こういうのが広い販路を持っている裏の業者に高値で売れるんです」
丸「マジですか!」
Iさん「それにトラブルが起きたとき、アルコールが頭にだいぶ回った連中のせいにもできますんで……」
丸「は、はぁ……」
Iさん「一番この商売で気をつけなければいけないのが、足の付く盗品の買い取りです。同じようなモノを数点持ちこんでくる連中には注意しなければいけません。盗品の可能性が高いからです。盗品であれば、もちろん警察に窃盗事件の証拠品として無償で提出しなければいけません。買い取り額は丸損です」
丸「盗品をいつも捌いているのに、そこには目を光らせているんですね」
Iさん「でも、手はいくらでもあるんです。窃盗グループとの取引では、取引の間に1社のペーパーカンパニーを噛ませて、領収書を切ります。それだけでショップは言い逃れができるんです。民法上、株式会社から買い取る品物が盗品だったとしても、被害者や遺失主は対価をキッチリ支払わなければ取り戻すことができないんです」
丸「中古品販売業ってかなり貪欲なんですね」
Iさん「そうですね、貪欲ですね(笑)。一度、ヤクザの組長から買い取ってきた本革張りのソファと大型冷蔵庫の中を探ってみると、拳銃と小指がぎっしりと詰まった小瓶、覚せい剤が出てきたこともありましたね。それももちろん売りますけども……」
丸「誰に売るんですか!」
Iさん「米軍横流しの品物までノンジャンルに扱う業者もいるので、250万円で全部引き取ってもらいました。その場にいたバイトには、ちゃんと20万円の臨時ボーナスを出しましたよ」
■
いかがでしたか?
すべてのリサイクルショップがIさんのようなことをしていると言っているわけではありません。ごく一部の業者です。
このリサイクルショップ、数年後には“犯罪の温床”などと呼ばれていないことを願います…。
(C)写真AC
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記者: 丸野裕行
丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『丸野裕行の裏ネタJournal』や『初めての不動産投資マガジン』などのポータルサイト編集長、文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンデージャポン』、テレビ朝日『EXD44』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、ABC『雨上がりのAさんの話』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビ・ラジオなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓