最近配置転換があり、昇格してさまざまな権限を持つようになった。社内のほぼすべての書類を見ることができ、社員の管理ができ、各社員の給与を見ることのできる権限をもらい、予算の裁可権限までもらった。
権限を持つようになると「○○さんが知ってるよ」という情報をどこかから得てきた人が「お忙しいところすみません」というふうに声をかけてくるようになった。今までもそういう声かけは皆無ではなかったとはいえ、明らかに急増した。これが実に煩わしい。煩わしいので、一時しのぎの雑な対応になる。雑な対応になると「お忙しいところ申し訳ありません」というふうに声をかけられるようになる。権限がない人からすると、権限がある人になるべく早くやってもらわないと仕事が進まないのでどうしてもそうなるのだ。
そして、誰がどういう業務をやっているのかかなりハッキリ見えてくるようになった。これはすごい。まるで王様にでもなったかのような気持ちだ。そしてイライラすることが増えた。「なんでこんなこともわからないの?」という気持ちが毎日生じていた。
これはまずいと思い、自分の持つ権限を一部他人にも渡すことにした。そうすると勝手にやってくれて勝手に学習してくれるのだ。これはすばらしい。それから、権限というのは社員一覧などを見れることだけではない。「自分だけが知っていること」というのも権力の証だ。「ここの取引先との話はこのように進んでいる」という話をただ知っているということが権力なのだと思った。そういうのはCRMを勝手に導入して社員全員が見れる場所に置くようにした(今までなかったのかよって話だけど)
基本的に自分の知ってることは問答無用で他の社員に公開し、自分はお菓子でも食べながら社内で遊んだり勉強したり適当に仕事したり、めんどくさいことは全部人に任せるようにした。あとは「あの話どうなったの?」と首を突っ込んで進捗を確認すると、やるべき仕事が減り、学習結果のサマリーというおいしい場所をいただくことができ、いろいろと自由にできるようになる。これがなかなかすばらしい。社内のモチベーションも明らかに向上しまくった。
そして同時に、権限を適切に管理すれば人を支配できるであろうことも発見した。気に食わないやつになるべく権限を渡さなかったり、権限を小出しにすれば、そいつは自分にお願いしなければ仕事が進められないのだ。気に食わないやつとのチャネルの構築を少しサボるだけでいい。それだけで、気に食わないやつは仕事ができなくなる。もしくは辞めざるを得なくなる。これはかなり恐ろしい。こういうことはなるべくしないようにしようと思った。
知識を増やし、できることが多くなると人は自然と偉そうになってしまう。また、より自由に行動できてしまう。責任はついてくるけど大したことはない。
仕事において、こうした権力がかなり多くの部分を占めているというのは、なんとも面白いものだなぁと思った。