Ⅱ 芸西天文台での観測 高知県安芸郡芸西村の天文台(高知県立芸西天文台)ではヘール・ボップ彗星の出現当初から観測を続けてきた。この天文台は”県立”となっているが、郷土出身の五藤斉三氏の寄付によって設立された天文台である。拙著<宇宙の放浪者>で詳述したが、五藤氏は初代の五藤光学研究所の所長であり、天体望遠鏡作りに極めて熱心だった人。同光学会社は今ではプラネタリウムに専念しているが、1970年代に五藤光学の総力を挙げて製作した同社最大の天体望遠鏡である。 この60cm反射望遠鏡で多くの小惑星や周期彗星を発見してきたが、五藤氏にとっても私にとっても忘れられないのは1984年9月のハレー彗星日本最初発見に貢献したことである。今でこそCCD応用によって暗い天体が観測しやすくなったが、当時写真によって20等星を検出することは至難のわざであった。 |