言葉が正しくなくとも、意思が伝わることがあるらしい。文学座の創立にかかわった名優、中村伸郎氏にふしぎなエピソードがある。

◆中村氏はタバコ屋に来て「マイルドセブン」を買うつもりだった。しかしなぜか、「イレブンピーエムください」と言ってしまった。テレビの人気深夜番組の名前と間違えたのである。すると、店番の高齢の女性はこう返事をした。「はいはい、お客さん、セブンイレブンですね」

◆ところがなんと、女性の手からマイルドセブンが出てきたという(吉行淳之介『やややのはなし』文春文庫)

◆何度となく失言を繰り返してきた例の人が辞任した。桜田義孝五輪相である。自民党議員のパーティーで、東日本大震災の被災地の「復興以上」に議員が大事だと発言したという。あいさつの前段を聞くと、「復興五輪以上」と言いたかった節もある。それても耳をふさがんばかりだが、ずれた言動に気づき、脳内で修正しながら意思を受け取れるのは身近な人たちだけだろう

◆それにしてもなぜこれほど慎重を欠く人が閣僚に選ばれたのか。国民にとって、大臣は親戚のおじさんではない。









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