四回目
「めてくれえええええっ!」
ああああああっ、痛みが、牙が潜り込み裂かれる痛みが……記憶に体に残っているっ!
もう嫌だ、嫌だっ!
「俺が何をしたって言うんだ! 何で、何度も何度も食われないといけない!」
頭を掻きむしり叫んだことにより、少しだけ心が……晴れた。
もう、四回目か、五回目かもわからない。
今回は酷かった。膝を抱えて体を丸めていたせいで、直ぐに噛みきられることなく、自分の体が食われる感覚を思う存分味あわさせてくれた。
さっきまでの、前回までのやる気も意気込みも消え失せた。抵抗して苦しむなら、受け入れた方が良いに決まっている。
抵抗したって無駄なんだ。だったら受け入れればいい。
声の聞こえてきた方向に俺は自ら歩いていく。
痛いのは嫌だ。もう、苦しみたくない。
俺の叫び声が聞こえていたようで、いつもより早い登場をする黒虎。
相変わらず大きな口だな。はいはい、齧るんだろ。なら、せめて美味しくいただいてく――