誰が「維新」を支持したか――大阪・首長ダブル選挙の光景から
2019.04.11
松本創
自壊の負け戦で「逸材」を潰した自民
一方の自民・公明を中心とする反維新陣営は、候補者選定のスタートから出遅れ、選挙戦が始まっても、不協和音ばかりが聞こえてきた。 首長選の告示前に発行できる確認団体ビラを出しそびれた。SNSやブログも更新されない。府議・市議が自分の選挙で余裕がなく、個人演説会に知事・市長候補を呼べない。選対本部や応援に来るはずの人間が来ない。翌日の街頭演説予定を問い合わせてもわからない。自公以外の応援弁士を選挙カーに乗せ、陣営内でもめた……。 「司令塔不在で、組織の体をなしてないんですよ」 有力な支援者の一人は、あきれたように言う。「自民党はもともと、オーナー企業の集合体のようなもの。そこに公明をはじめ、他党や労組も入ってきて、全体を統括する人間が不可欠なのに、誰もその役割を果たさないからバラバラ。前回選挙の反省がまったく生かされていない。それに比べ、維新はトップダウンだから意思決定や指示が早い。現職の強みで業界団体も押さえている。『組織がない』なんて彼らは言いますけど、向こうの方がよほどしっかりした組織を築いてますよ」 そもそも、いざ選挙となってから慌てて候補者探しに動くこと自体、いったいこれまで何をしていたのかという話である。 「選挙というのは、負けた時から次が始まるんです。マーケティングに喩えて言うならば、4年先を見据えて、市場(有権者動向)調査を行い、それを踏まえた商品(候補者)を選定し、販売戦略(選挙戦術)を立てないといけない。そうした活動が皆無だったんです」 結果的に、擁立した候補者は悪くなかった。それどころか、維新の強引な政治手法や詭弁も厭わない言論術に対抗するには、最高の人選だったと言ってもいい。
「逸材」を活かせず機能不全を露呈した大阪自民
市長候補の柳本顕は、25歳から大阪市議を5期務め、2015年5月の都構想住民投票では、反対派の先頭に立って勝利に導いた立役者だ。同年11月の市長選では敗れたものの、政策通で弁舌もさわやか。「自民党大阪府連きっての逸材」と言われてきた。7月の参院選出馬が決まっていたところを口説き落とされて、2度目の市長選に挑んだのだった。 知事候補の小西禎一は、橋下府政時に「改革プロジェクトチーム」のリーダーに抜擢され、松井の下では副知事を務めた。「府庁のエース」と言われ、府下の自治体職員まで集まる「小西学校」が開かれるほど、行政内部では人望がある地方自治のプロだった。地味で言葉が硬いのは仕方がないが、本人も自覚し、演説や討論会を重ねるごとに上達していた。 だが、いくら「商品」がよくても、スタートに出遅れ、組織が体をなさず、戦略も後手後手では、巻き返せるはずもない。維新の野合批判に焦り、「共産党とは一切関係ない」と否定して回ることにばかり熱心で、あとは先述したような内情だった。選挙戦中盤以降、マスコミ各社の焦点は既に勝敗にはなく、「松井と吉村の当確をいかに早く打てるか」の争いになっていた(結果、投票締め切りと同時に当確が打たれた)。 自民党大阪府連は、政党としての機能不全を露呈し、自壊してゆく負け戦に、2人の逸材を巻き込んだ。その結果、柳本に「政治家としては息絶えたと思っている」という悲痛な敗戦の弁を吐かせてしまったのである。
ハッシュタグ
清水建二の微表情学
橋本愛喜
コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」
502大佐のコインハンター
「言葉」から見る平成政治史
ネット世論操作と民主主義
分解スキル・反復演習が人生を変える
弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々」
不動産執行人は見た
安達 夕
ビジネスで使える心理術
なんでこんなにアホなのか
月刊日本
都市商業研究所
サラリーマン文化時評
政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係
ニュース・レジスタンス
ゼロから始める経済学
金欠フリーライター、民泊を始める
「持続可能国家」コスタリカ
たまTSUKI物語
現役愛人が説く経済学
「ダメリーマン成り上がり道」
ガマンしない省エネ
石橋叩きのネット投資術
あなたの知らない「子育ての話」
越境厨師の肖像
栄光なき起業家たち
2018年閣僚答弁プレイバック
ロボティア編集部
サラリーマンメンタリスト
炎上したくないのは、やまやまですが
民意をデフォルメする国会5重の壁
あのサラリーマン漫画をもう一度
老舗の智慧
一般人の知らない「クスリ」の事情
漫画で考えるミソジニー
「パレオな男」の快適ビジネスヘルスハック
闇株新聞
”アーチャリー”松本麗華の視線
ブラック化する日本企業への処方箋
石原壮一郎の【名言に訊け】
ファイナンシャルフィールド
一年以内に離島・孤島でサブスリー!
マッチョ社長の「筋トレで解決しない悩みはない!」
決算書で読み解く、ビジネスニュースの深層
アスリートのセカンドキャリア考察
草の根保守の蠢動
文系サラリーマンでもできる!iPhoneアプリ開発
仕事に効く時代小説
中学校武道必修化の是非を問う
江藤貴紀「ニュースの事情」
深読みビジネス書評
江川紹子の事件簿
税理士・道下知子の税金相談室
投資で稼ぐ力~男に依存しない力を身につける
現役財務官僚が語る日本財政の真実
香ばしい人々returns
農家の窓から
パーソナル戦略PR術
広告やメディアで人は動くのか会議