「ゆうきゆう」のペンネームで活動する精神科医で、Twitterなどでも人気の安田雄一郎氏が、以前交際していたという女性から約580万円の損害賠償を求めて訴えられた。
安田氏は、都内でメンタルクリニックや皮膚科・美容皮膚科などを経営。また、「ゆうきゆう」のペンネームで原作を手がけた「マンガで分かる心療内科」はベストセラーとなった。Twitterのフォロワーは約40万人と、ネットでも人気の精神科医だ。
一方で2017年秋、週刊文春が、既婚者であることを隠し、主宰するイベントなどに参加した複数の女性と交際していたなどと報じた。
提訴した女性も、安田氏主宰のセミナーがきっかけで交際し始めたといい、「ゆうき氏が既婚者であることや、複数の女性と交際していることを知らないままだった。報道でこれらを知ってうつ病となり、勤務先を退職せざるを得なくなった」などと主張している。
安田氏(ゆうきゆう)が原作を手がけた「マンガで分かる心療内科」
女性が訴える安田氏との関係
11月5日に東京地裁に裁判を起こしたのは、東京在住の女性(以下、Aさん)。
以下は、訴状に書かれたAさんの訴えだ。
Aさんは2016年3月26日、友人から誘われて、安田氏が主宰する心理学セミナーに出席。グループトークで安田氏から悩みを聞かれ、転職などのアドバイスを受けた。帰宅後、安田氏から「転職や決断の悩みは大変ですよね。これからも応援したい」という趣旨のメールが届いたという。
Aさんは安田氏にアドバイスに感謝し、悩みを書いたメールを返信。すると、安田氏から新たなアドバイスとともに「これからも応援したいので一度会えないか」とのメールが来た。
Aさんは、悩みを聞いてくれることは嬉しいと思い、会うことにした。セミナーから数日後、安田氏とAさんは東京・上野で会うことになった。安田氏のクリニックに行くのかと思ったが、行き先は個室居酒屋だった。
Aさんは居酒屋で悩みを話した。その後、安田氏から「率直に言うと、交際してほしいから誘いました」と告げられた。Aさんは当時20代後半で近い将来の結婚を考えており、「軽々しい交際はできない」と話した。安田氏は「真剣な交際がしたい」と答えたという。
その後も安田氏からは頻繁に連絡があった。Aさんも安田氏と話をすることが楽しくなったため、交際を始めた。安田氏はAさんに対し、結婚歴はなく独身だと語っていたという。
Aさんは2016年春から安田氏の事務所兼住居に泊まり、半同棲生活に。洗濯や料理などはAさんがし、子どもをつくるかなども話し合ったという。
Aさんに性感染症の陽性反応が
2017年4月、安田氏から「性感染症に罹患したので、すぐに検査に行ってほしい」と告げられた。結果は陽性で、Aさんも治療を受けることに。感染原因に心当たりがないAさんは、安田氏が別の女性とも関係しているのではないかという疑念を持った。
安田氏は、Aさんと交際する前から感染していたと弁明。それを信じたが、約3カ月後にも再び発症したので検査してほしいと言われた。この時は陰性だったが、さらに不安を感じるようになったという。
週刊文春の記事で妻子がいることを知る
安田氏に交際している女性が複数いるなどと報じた週刊文春
2017年10月5日、Aさんは安田氏から電話で「これからは何があっても信じないで欲しい。僕は君のことだけを愛しているから」「実はストーカーの被害に遭っている。あることないこと言われて迷惑をしている。今後、誰かから僕たちの交際のことを話されても黙っていて欲しい」と言われたという。
週刊文春は2017年10月26日号から3週にわたり、安田氏について報じた。「安田氏が複数の女性と交際」「妻子がいることを隠して婚活パーティーに参加」などと書かれていた。
Aさんはこれらの記事で初めて、安田氏に妻子がいることを知った。さらにAさんのことではないかと思われる記述もあり、ショックを受けたという。
事実関係を確認するため安田氏に連絡したが「体調が悪い」「会えない」と拒否され、12月下旬以降は全く連絡がつかない状態になった。事務所兼自宅を訪ねると、すでに転居しており無人だったという。
安田氏とAさん
うつ病になり解雇 「精神科医であれば容易に想像できたはずの不誠実な行動」
Aさんは一連のことからうつ病にかかり、転職を果たした航空会社も11月下旬から休職せざるを得なくなり、その後解雇されたという。
AさんはBuzzFeed Newsの取材に話す。
「文春の記事が出た後、安田氏からの説明や謝罪は一切ありません。人を信じることができなくなりました。精神科医であれば容易に想像できたはずの、不誠実な行動による影響と被害の大きさを反省してもらいたいです」
Aさん側は「単純な交際ではなく、遅くとも2017年4月上旬には婚約関係にあった」とし、それを破棄されたことでうつ病になるなど大きな精神的な損害を受けた、と主張している。
安田氏側「婚約の事実はない」
安田氏は週刊文春の一報後、自身の公式サイトで「現在確認できる情報をみる限り、事実に反する内容が多分に含まれており、現在、法的手続を含め、対応を弁護士と検討しております」と反論する意向を示していた。
BuzzFeed Newsは2018年11月28日、安田氏に質問状を送り、Aさんの一連の主張をどう受け止めるのか、週刊文春への対応はどうなったのかなどといった点への見解を求めた。
安田氏の代理人弁護士からは12月3日、ファクスで通知書が届いた。「安田氏が女性と婚約したという事実はなく、従って安田氏が婚約を破棄した事実もないことを改めて申し添える」とし、「本書面にて回答にかえさせていただく」としている。
Takumi Harimayaに連絡する メールアドレス:takumi.harimaya@buzzfeed.com.
Got a confidential tip? Submit it here.