政府は20日の閣議で、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に米国製の最新鋭機F35を採用することを了承した。24日にも決める2012年度予算案に、まず4機分を計上。16年度末からの納入を目指し、最終的に42機を配備する。1機当たりの調達費は約99億円と高額になる。今後30~40年の日本の防空戦略を踏まえて機体の先進性や高性能が重要だと判断した。
一川保夫防衛相は20日の閣議後、記者団に最終的なF35の導入数について「42機を取得する」と明言した。政府は閣議に先立つ安全保障会議(議長・野田佳彦首相)で、防衛省の点数評価制で最高点を得たF35の採用を決定。レーダーで発見されにくい高いステルス性を持ち、僚機や地上と情報共有できるネットワーク力に優れた唯一の「第5世代機」だ。防衛相は「安全保障環境の変化に対応できるような性能を有している」と説明した。
FX候補は米ボーイング社製のFA18、欧州4カ国共同開発のユーロファイターを加えた米欧3機種。評価項目は(1)性能(2)経費(3)国内企業の参画(4)メーカーによる整備支援など――の4点。F35は性能などで最高評価を得た。評価内容の詳細は公表しない。
F35の調達費は、12年度分が1機約99億円(交換用部品込み)。13年度以降の価格は今後交渉する。日本は国際共同開発・生産にはかかわれず、ライセンス生産になるため最終的な調達費が一段と膨らむ可能性が高い。
開発途上で機体に不具合が見つかり、米軍側が調達計画の見直しに言及するなど、16年度内の納入に不安も残る。防衛省は納期に影響が出ないよう米国に確認。防衛相は「間違いなく納期に納めるとの確約を得ている」と強調。同省は確約を得た相手は米国防総省の開発計画責任者としている。
今回のFX選定は老朽化が進むF4の後継機。現在主力のF15は20年ごろの退役を見込み、この後継にもF35を想定する。主力機をF35に切り替えていく米軍との長期的な相互運用性向上をにらみ、調達機数はさらに増える可能性がある。
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