02 おさかなに含まれる放射性物質を測ってみよう
02 おさかなに含まれる放射性物質を測ってみよう

魚介類の放射線測定値ってニュースで聞くけど、どうやって測ってるか知ってる? フツー知らないよね。

千葉県御宿にある海洋生物環境研究所(MERI またの名をカイセイケン)の中央研究所にお邪魔して、一連の流れを見せてもらおう。

おさかなを受け入れる

おさかなを受け入れる

毎朝、事前に品種が通知されたおさかなが、クール宅急便で研究所に届くんだ。これだけ見るとお歳暮みたいだね。

おさかなを特定する

おさかなを特定する

送られてきたおさかなを、本当に通知された通りの品種なのか、“おさかな博士”が精査するんだよ。

時には図鑑まで引っ張り出してきて、細かな違いを見分けていくんだ。

たとえば、標準和名「マコガレイ」というおさかなが、「マガレイ」という地方名で通知されて届くことがある。ややこしいよね。しかも標準和名「マガレイ」という別のおさかなも存在するので、なおさらややこしいんだ。

きちんと見分け方があるんだよ。

作業チームへ届ける

作業チームへ届ける

すべてのおさかなの品種を特定したら、それぞれ作業チームに割り振る。

この日は2チームが作業してたけど、いずれのチームも全員地元の女性たちで構成されているんだ。

とっても頼もしいおねえさんたちだよ。

サイズを測る

サイズを測る

おさかなを一匹ずつ、体長と体重を測っていく。おさかなの写真を撮り、測定した数字を読み上げ、それをPCで記録していくんだ。
おねえさんたちがテキパキとこなしていくよ。

3枚におろす

3枚におろす

「この仕事を始めたころは、魚なんておろしたことなかったけど、今じゃアッという間におろせる」と豪語するおねえさんたち。
実に見事な手つきで、おさかなを3枚におろしていく。
美味しそうなお刺身がたくさん仕上がっていく。

ミンチにする

ミンチにする

今度はお刺身を包丁で叩く。
小気味の良い音を立てて、アジのタタキ状のものが山のように積まれていく。
美味しそうだね。

徹底的に!

徹底的に!

とにかくテッテ的に叩いてミンチにする。かまぼこを作っているみたいでしょ?
包丁の刃がダメになると研ぐ。またダメになると研ぐ。
これを繰り返すと、最後には包丁がナイフみたいに小さくなっちゃうんだって。

胃の内容物も調べる

胃の内容物も調べる

一方、こちらはおさかなの胃から出てきたものを分析しているところ。
「タラふく食べるって言うでしょ。タラは貪欲に何でも食べるから胃からいろんな生き物が出てくる」と解説しながら、慣れた手つきでサッサと胃の内容物をより分ける“おさかな博士”。
今回は胃の中からたくさんのエビが出てきたけれど、その種類によって、その魚がどこで生活してきたかわかるんだって。もちろん内容物もすべて測定に回されるよ。
でもね、近くでカメラを回してると、そのすさまじい匂いに気絶しそうになるんだ。
それでも“おさかな博士”は時々、「ん!?待てよ」などと言いながら鼻先に内容物を近づけて凝視したりするんだよ。ちょっと今思い出しても、これだけはトラウマ。

パッキングする

パッキングする

おさかなのミンチをビニール袋に詰めていく。
キレイに詰めるのもなかなかテクがいるみたいだよ。
おねえさんたちの作業はここまで。

分析する

分析する

作業チームから届いたビニール袋の中身を分析用の容器へ移し替え、再度重量等を確認したのち、分析される。最終的におさかな1kgあたりの放射性物質濃度(Bq/kg)がわかるんだ。
日本の基準は100Bq/kgで、米国の1200Bq/kg、EUの1250Bq/kgより、ずーっと厳しいんだよ。それでも「福島の魚は危険だ」なんてことを平然と口にする人がいる。アタマにくるね!

福島県や水産庁の調査でこれまで1万体以上の検体を測定してきたけど、2015年4月以降、100Bq/kgの基準値を超えた検体は、1体しかない。それもコモンカスベといって地元の人でも食べるかどうかという“珍しいエイ”の仲間だった。
カイセイケンでは、福島第一事故以前から、おさかな以外にも、海水や海底土の放射能調査を実施していたんだよ。興味があったら調べてみてね。