粘土のはなし
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粘土について説明しましょう。

粘土と言えば、幼稚園で工作で使うあの粘土でしょうか?あの自由自在に形を作れるくにゅくにゅした固まりです。最近は色々な色の粘土もあり、工作の幅も広がり楽しそうです。

さて、粘土は、実は非常に身近なもので、お化粧品、ベビーパウダー、洗剤、ペットのトイレ、陶磁器など様々なところに使われています。粘土は種類によって大きさは違いますが、フレーク状、あるいはティッシュ状のもので、球形ではないので、肌につけたとき、しっとりとなじむのです。実際粘土粒子は、フレークあるいはティッシュのような物が重なって、一つの固まりとなり、その固まりは普通の電子顕微鏡で見ることができますが、それをばらばらにして一つ一つの粒子を見ようとすると、FE-SEMという10万倍まで見ることができる顕微鏡でないとだめです。

 

これが粘土粒子の正体だ!
フレーク状の粘土粒子が重なっている
 
ティッシュ状の粘土粒子

 
ルーセンタイトSWN  10万倍 で撮影
 
モンモリロナイト(月布産) 7万倍で撮影


粘土の化学式って??

たとえば、右上の写真のモンモリロナイトですが、

E0.33(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2

です。ここでEというのは、交換性陽イオンです。たとえば、NaやCaです。結構複雑な化学式でしょう?

粘土は平べったい粒子ですので、その層の間にセラミックの柱を入れてみたり、他にも色々な有機分子やイオンを組み込み、有機化合物の複合体を作り出す事ができます。

また、モンモリロナイトを水に溶かして激しく攪拌し、粒子をばらばらにしてから乾燥させると、また重ね合わさりますが、ある状態で乾燥させると重ならず、隙間ができた状態で乾燥させることができます。ちょうどカードハウス状態です。この状態ですと、非常に優れた多孔質となりますので、断熱材、触媒としての利用が考えられます。

このように、私たちのまわりは粘土で囲まれていると言っていいくらい、あらゆるものに利用されています。土の中に無尽蔵と言っていいくらいありそうな粘土ですが、日本は実は輸入に頼っています。もっとも自給率の高いベントナイトが自給率70%程度です。

したがって、最近では人工的に粘土を作り出すこともされています。しかしながら、非常に細かい微粒子であるために、粘土についてはわかっていないことがとても多く、研究対象としては魅力がある存在です。

 

 

 

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