NMRのはなし
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電子や原子核はスピンと呼ばれる自転運動をしています。中学の理科でフレミング右手の法則というのを習ったと思いますが、電荷が動くと電流が流れ、そこには磁場が生じます。つまり、電子や原子核は磁石のようなものだと考えられるのです。

さて、電子や原子核を静磁場B0の中におくとどうなるでしょうか?磁石のようなものなので、当然静磁場の方向に向きをそろえます。ここで、コマの運動を思い出してください。コマをまわすと首振り運動(歳差運動)をします。これは重力の影響によるものです。それと同じで、静磁場の中に入れられたスピンをもつ電子や原子核はコマと同じように首振り運動をします。これをラーマー運動と呼びます。ラーマー運動の周期は静磁場の大きさに比例します。

 

自転している原子核は、

 

磁石を静磁場に入れると

 

コマのように歳差運動をする

 

コマの歳差運動と同じですね!

このラーマー運動の周期と同じ周期の電磁波をあてると共鳴して回転の振幅が増大します。これをスピン磁気共鳴と言います。電子の場合電子スピン共鳴、原子核の場合、核磁気共鳴(NMR)と言うのです。そして共鳴して高いエネルギー状態になった原子核が元の状態に戻るときにサインを出します。これをとらえるのが核磁気共鳴装置です。このサインはとっても小さいのでとらえるのが大変。そこでできるだけ大きな静磁場が欲しいのです。最近になって超伝導磁石やネオジム永久磁石などテスラ級の大きな磁場をもつ磁石が開発されました。そこでNMR(またはMRI)が実用的になったわけです。

原子核の中でも、プロトンすなわち水素原子核は地球上の存在比がずば抜けて大きく、水の構成要素であるため、利用価値が高いのです。
人間の体も水だらけですからね!
今後の話はプロトンを前提に説明していきます。


さて、ここからちょっぴり難しくなります。もうこれでいいという方はここでお終い。
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