NMRのはなし

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一般的なNMRの構造は図6のようなものです。磁石の中にコイルがあり、その中にサンプルが入った試験管を入れます。
そして、高周波発信機の周波数を調整してサンプルからのシグナルをとらえます。
共鳴する周波数は、元素によって決まっていますので、サンプルの分子構造が分かるというわけです。ただ、これは一般的なNMR。化学屋さんのお仕事です。

空隙を探すには、プロトンを対象にするのがベストなので、化学分析に関わる理論(化学シフトなど)は、他の人におまかせすることにします.

さて、プロトンからの信号はとても微弱なものです。増幅器を使ってもほんの小さなものです。それゆえにパルスを何度か照射して信号を積算する必要があります。パルスを照射して励起してから元の安定状態に戻ることを緩和と言いますが、この緩和時間を知ることがパルスを照射するタイミングを選ぶのに必要です。

 

 

 

 

前ページの図4で、X軸方向から眺めることにしましょう。
90°パルスでy軸方向に倒れた磁化は次第に初期値に戻ります。この緩和を縦緩和あるいはスピン-格子緩和といい、それにかかる時間をT1であらわします。

次は図4で、Z軸上方から眺めます。
パルスでy軸方向に倒れた磁化は次第に0になります。この緩和を横緩和あるいはスピン-スピン緩和といい、それにかかる時間をT2であらわします。

さて、このパルスを照射してから緩和までのシグナルをrfコイルで受信すると下図のような時間によるスペクトルが得られます。
このスペクトルをFIDあるいは自由誘導減衰と呼びます。これを数学的にフーリエ変換して周波数によるスペクトルであらわすと、図9下のようなスペクトルが得られます。これを解析すると分子構造などが分かるというわけです。

さて、一般的なNMRについてはご理解いただけたでしょうか?
次は、現在開発中のポータブルな物理探査NMRをご紹介します。次のページへどうぞ!

 
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