NMRのはなし
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実験風景

 

 

NMRによる
コンクリート建造物中の空隙探査イメージ

図10は開発中のNMRです。

建造物の中にひそむ空隙などを探し当てるため、コイルが磁石の中ではなく、外側にあります。

将来的には図11のようにトンネル内の内部約5cmくらいにある空洞を20秒くらいでスキャンできるようにしたいと考えています。


普通のNMRでは、図13のように、二つの磁石とコイルの間にサンプルを入れます。しかし、コンクリート建造物をこの間に入れるわけにはいきません。そこで片側解放型のNMR(図12)の開発となったのです。ところが、片側であるがゆえに、色々デメリットがあります。

図12のように、磁石が片方にしかなく、しかも水試料から遠いため、静磁場B0が小さくかつ不均一です。
また、コイルから水試料が遠いため、振動磁場B1が小さくかつ不均一です。

このような理由から、 水から得られるシグナルが通常より非常に小さいのです。

これらのデメリットを克服するために、磁石とコイルの設計が重要となってくるのです。

 


完成した磁石

 

 

 


試作中のコイル

深いところにある空隙を感知するために、感度領域(図14で黒い丸印の所)をできるだけ遠くにできるだけ高磁場、高均一度になるように磁石を設計しなくてなりません。そしてポータブルにするために、できるだけ軽いことが重要です。

そのようにしてできた磁石が図14の直径30cmのネオジム磁石です。この磁石は、半径2m以内にキャッシュカードなどを持って近づくとすぐに使えなくほど強力なものです。

一方コイルの方ですが、できるだけ遠くに(感度領域に)、かつできるだけ均一にラジオ波を飛ばしたいのですが、それは矛盾した要求ですので、両方がほどよくおさまるように設計しました。

こうしてできたのが右図のコイルです。 Dの形をしたコイルを2つ組み合わせたものです。

この磁石とコイルを使って実験をしました。(図16)
その結果図17のような波形を得ました。
ノイズが多いのですが、これは取り除くことができます。2cm離れたところにある試料内の空隙にあるプロトンからのシグナルをしっかりととらえています。

 

今後は、深度5cmほどにある空隙を20秒ほどで探知したいと考えています。

お疲れ様でした・・。

 
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