2018年9月、ロシア外相の名前をかたったロシア人サイバー犯罪者が、「ダーク(闇)ウェブ」の奥深くにあるフォーラム(掲示板)で、こんなメッセージをロシア語で掲載した。
「Zeusと似たような機能を持つトロイの木馬型マルウェア、Pandaに興味があります。ご存じの方がいましたら、現在市場で出回っている製品の種類を教えてください。ビルダーの購入あるいはレンタルを考えています」
このメッセージは難解に見えるが、要は「サイバー攻撃に使う『Panda』ツールを購入したい」ということになる。
「ダークウェブ」とは、私たちが普段使う通常のインターネットではアクセスできない地下のネットワークのことで、そこにアクセスするには、匿名で利用できる特別なブラウザが必要になる。18年から、そんな地下のフォーラムで、「Panda」と呼ばれるサイバー攻撃ツールが頻繁に話題に上がっていたという。しかもその動きを追うと、日本の名だたる大手企業を標的にしていたことも発見された。
これは日々世界中で発生しているサイバー攻撃の兆候が発見された一例にすぎない。ただ不思議なのは、誰が、どうやってこんな犯罪者の動向をつかむことができるのかということではないだろうか。実は、そのわけは「脅威インテリジェンス」という、最近台頭著しいサイバーセキュリティ対策にある。
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