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政府は、マイナンバーカード(個人番号カード)の普及やマイナンバーの活用に向けたタスクフォースを2019年2月に発足した。菅義偉官房長官の肝煎りだ。カードの普及で行政手続きや民間サービスのデジタル化に弾みを付ける狙いがある。新紙幣・新元号の勢いに乗れるだろうか。
普及ペースはSuicaよりも速い
マイナンバー制度は2015年10月に始まり、既に3年半が経過した。自治体が希望者に無償で配るマイナンバーカードは2019年4月8日現在で約1662万枚が交付されたが、人口比の普及率は約13%にとどまる。2019年2月に政府IT総合戦略本部が開いた「デジタル・ガバメント分科会」では、有識者が「今回がラストチャンスのつもりで普及活動をしないと、定着しないのではないか」と指摘した。
もっとも、マイナンバーカードは普及ペースだけで見れば、民間のICカードと比べ決して遅いわけではない。例えばJR東日本の交通系ICカード「Suica」の発行枚数が1700万枚を超えたのは、2001年11月18日のサービス開始から5年ほど経過した後だ。実はSuicaよりも普及ペースは速い。
むしろ、課題はマイナンバーカードで何ができるかだ。タスクフォースは内閣官房や財務省、厚生労働省などの審議官ら政府の高官で構成する。ある政府関係者によると、マイナンバーカード普及の切り札として現在検討している施策は2つある。
1つ目は、2019年10月の消費増税に備えた景気対策と関連して、マイナンバーカードを取得すれば地域の商店街などで使える自治体ポイントへのプレミアムを付与するというものだ。政府は2019年度予算に準備経費を計上し、2020年度に臨時の消費活性化策として実施する。
総務省は現在、クレジットカードのポイントや航空会社のマイレージなどを自治体ポイントに変換して地域特産品の購入などに使える実証事業を進めている。この仕組みのてこ入れを図るというわけだ。政府関係者は「普及策として一番効くのは自治体ポイント」と期待を寄せる。