花王の子会社のカネボウ化粧品は4日、同社と子会社2社が製造・販売する美白化粧品54品を自主回収すると発表した。化粧水や乳液に使う独自成分が原因で肌がまだらに白くなる「白斑」の症状が確認されたため。回収対象商品の国内総売上高は50億円と同社の全売上高の2~3%だが、看板ブランドの商品も多く含んでおり競合他社に顧客が流出しかねない。
「これほどの件数をなぜもっと早くとらえられなかったのか。深く反省している」。同日都内で開いた記者会見で夏坂真澄社長は謝罪した。症状は39件が報告された。手や顔、首などに白い斑点が現れ、炎症を伴う場合もある。
回収対象は百貨店やドラッグストアなどで2008年9月から販売している8ブランドの54製品で、市場に出回っているのは約45万個。該当商品かどうかは問い合わせ窓口(フリーダイヤル0120・137411)か店頭で確認できる。
4日午後9時までにフリーダイヤルへの問い合わせは約1万5千件にのぼったという。商品の返送料と代金は同社が全額負担する。同社は肌のトラブルに伴う治療費は全額負担することにしており、関連費用は約50億円と試算している。
回収対象の商品の日本国内での総売上高は約50億円で、うち6割を「ブランシールスペリア ホワイトディープシリーズ」が占める。ほかに「RMK」や化粧品専門店で展開する「トワニー」など、稼ぎ頭のブランドが名を連ねている。
今後は成分の安全性確認のため「自主基準を再検討する」(夏坂社長)とともに、6月24日付で設けた対策本部で原因を究明する。
同社は経営危機に陥った旧カネボウの化粧品事業が母体で、06年に花王が産業再生機構から買収した。効率化に取り組んで増収基調にある。花王出身の夏坂社長は顧客離れなどへの影響について「品質で失った信頼は品質で取り戻すしかない」と話した。
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