漆黒の英雄譚   作:焼きプリンにキャラメル水
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決戦前日

エ・ランテル 冒険者組合 2階

 

 

 

 

生きる伝説でアダマンタイト級冒険者チームである『漆黒』の二人、

かつてエ・ランテルで最高位だった三チーム『虹』『天狼』『クラルグラ』のリーダーたち、

この街の統治を王により任せられているパナソレイ都市長、

その都市長の下にアインザック冒険者組合長、パナソレイ魔術師組合長、

そしてホニョペニョコに襲撃されるも生き延びたブリタ、

計9名による話し合いが行われた。議題は『ホニョペニョコ』についてだ。

 

話し合いが長引く中、モモンは一つの結論を語りだす。

 

 

 

「私たちがホニョペニョコを討伐する」

 

 

 

多くの者が彼らの言葉を疑った。だが同時にそれが唯一の方法だとも分かっていた。

 

 

 

「自信はあるようだね。何か切り札でも?」

 

 

 

モモンの実力を把握しきれていないだろうラシケルが自身の胸中にある疑問を投げかける。

 

 

 

「自身はあります。これです」

 

 

 

そう言ってモモンは机の上にそれをゴトンと置いた。それは魔封じの水晶である。

 

 

 

「魔封じの水晶?・・・・」

 

 

 

ラシケルは頭の中に浮かんだ記憶を思い出す。古い文献の中で法国のみが持っていたとされるアイテムだ。この水晶には任意の位階魔法を込められていたはずだ。

 

 

 

「えぇ。中には第8位階魔法が込められています」(嘘だが・・・今はこう言っておいた方がいいだろう)

 

 

 

「えっ・・・マジか。神話の領域ではないか!!?」

 

 

 

これでモモンがホニョペニョコ討伐に行くことに疑問を持つ者はいなくなった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

会議が終わり、一階に降りた都市長パナソレイは必要なものを取りに帰らせるために自身の従者を呼んだ。今は冒険者組合の一階で待機していてくれてるはずだ。

 

(不味いな・・・・でも彼らなら『薬草採集の件』のモンスターを倒したんだ。大丈夫なはずだ)

 

「お呼びでしょうか?」

 

「あぁ。このリストに書いてあるものをここに持ってきてくれ」

 

そう言ってパナソレイは従者にリストを渡す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かりました。あっ、旦那様」

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「先程怪しげな女から手紙を受け取ったのですが・・」

 

そう言って従者はパナソレイに手紙を渡す。受け取ったパナソレイは中身を見る。

 

「何だ?これは白紙じゃないか・・これを」

 

パナソレイが手紙を渡したのは誰かと問おうとした、その時であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブスリ

 

 

 

 

 

 

 

腹部に何かが貫いた。パナソレイは思わず声を出そうとするが従者だったはずの男に口を抑えられる。

 

 

 

 

「取引しましょうか。この場にいる冒険者や受付嬢の命と先日捕まったクレマンティーヌの身柄を交換しましょう」

 

 

 

それは女の声だった。どこか幼い声をしている。パナソレイは激痛で思考が鈍りながらみ必死に頭を働かせた。従者の容姿をしている者の手を見る。先ほど貫いたのは従者の指のようだ。

 

 

(どういうことだ?彼は確かに私の従者だ。だが声と容姿が一致しない。まさか魔法か?)

 

 

 

服に赤い染みが出来る。ズボンを通して床に赤い染みが出来る。

 

 

 

「どう?悪い取引ではないはずでしょ?」

 

 

 

「・・がっ・・」

 

 

 

パナソレイは口を抑える手を両手を持って叩く。ビクともしない。

 

 

 

「このままじゃ話せないわね・・・どうぞ」

 

 

「プハッ・・・一体何が目的だ?」

 

 

「さっきも言ったと思うけど『クレマンティーヌ』が目的よ。彼女には『ある任務』を頼んでいたから」

 

 

「『ある任務』?」(手際の良さ、高度な魔法、もしやこの女、スレイン法国の者か・・・)

 

 

 

「話はここまで・・・・それでどうするの?解放するの?しないの?」

 

 

 

「・・・・・分かった。彼女を・・・・・クレマンティーヌを・・・・」

 

 

 

パナソレイはわざと溜めて言葉を話す。そうすることで時間を稼ぐためだ。

 

 

 

「話を長引かせても無駄よ。この辺りの者には私と貴方が仲良く話している幻覚が見えているから」

 

 

 

 

(見破られている・・・しかも周囲に助けを求めるのは不可能か)

 

 

 

最早これまでかとパナソレイがあきらめ、クレマンティーヌの解放を話そうとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

従者の姿をした女を斬りつける英雄の姿があった。

 

 

 

「・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっんん?????」

 

 

女が異常なまで舌巻く。その様子にはいら立ちがあった。モモンの突然の出現に女は信じられない速度で逃げていった。

 

 

 

 

 

「ありがとう。モモンくん。助かったよ。それでどうして分かったんだい?」

 

 

 

「組合に異質な気配を感じたので来てみたので駆け付けました」

 

 

 

「おかげで助かったよ」(彼の持つ武技か・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・

 

・・・・

 

・・・・

 

 

 

 

この一件により、エ・ランテルでは街の外への外出禁止令が出ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________

 

 

 

モモンとナーベはエ・ランテルを出た。ホニョペニョコを倒すためだ。

 

 

 

「モモンさん!」

 

「モモンさん!」

 

「モモンさん!」

 

 

エ・ランテルの街の人々に見送ってもらっていた。

 

 

 

 

 

アインザック冒険者組合長が魔術師組合長ラシケルと都市長パナソレイに今回の一連の出来事(後に『ホニョペニョコ事件』と呼ばれる)を話した。話を聞いた二人はエ・ランテルの街に『外出禁止令』を出した。そのため彼ら二人を見送るのは窓から顔を覗かせた者たちだ。中には外で遊びたいであろう子供たちの姿もある。

 

 

 

 

「私が必ず奴を・・・『ホニョペニョコ』を倒す!」

 

 

そう言って大剣を高く振り上げた。

 

家の中から歓声が上がる。

 

 

 

「そして普段の『エ・ランテル』を取り戻す!!」

 

家の中から拍手と歓声が溢れる。

 

 

 

 

 

 

 

「モモンさん!」

 

「モモン様!」

 

「『死を切り裂く双剣』!!」

 

「我らが『漆黒の英雄』!!」

 

「モモン!!」

 

 

 

 

 

 

 

「必ず勝たねばならない。必ずな・・・」

 

モモンは背中に大剣を収める。

 

 

 

 

その姿を見た街の人々は願った。

 

 

 

 

 

『漆黒の英雄』が『エ・ランテル』の安寧を取り戻すことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





駄文ですみません。

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