新幹線線路10キロ歩き逮捕 77歳男性の驚くべき行動と前歴
77歳の男性の「暴走」で新幹線1本が運休し、15本に最大2時間20分の遅れが生じ、約9240人に影響が出た。
北陸新幹線の線路内に立ち入ったとして5日、長野県立科町の農業、桜井捷一容疑者(77)が、新幹線特例法違反の疑いで県警上田署に現行犯逮捕された。
東京発長野行きの「あさま625号」に乗っていた桜井容疑者は午後8時3分、佐久平駅で下車。下り線ホームの高さ約125センチのホームドアを乗り越えて線路内に侵入し、上田駅方面に向かって歩き始めた。それを見た駅員が警察に通報。運転を見合わせ、駅員2人と警察官7人で後を追った。約1時間かけ約1キロ先まで捜索したが、見つからなかったため、午後9時45分、新幹線は速度を落として出発した。
「運転士がライトを照らしながら約4キロ先まで捜しましたが、それでも見つかりませんでした。線路内は外から立ち入ることができませんが、どこかからよじ登って出て行った可能性もあり、速度を200キロまで上げ、運転を再開しました」(JR東日本広報室)
約30分後、東京方面に向かっていた「あさま」の運転士から、佐久平駅の手前約6キロ地点の左側の線路脇で「人影が見えた」と連絡が入った。午後10時15分ごろ、すべての列車を停車させ、金沢行きの「はくたか577号」が徐行運転で現場付近に到着。しかし桜井容疑者の姿はなく、さらに4キロ進み、午後11時半ごろ、佐久平駅から約10キロ離れたトンネル内で、上下線の線路の間にうずくまっていたところを発見。JR東日本の社員4人で引き上げ、上田駅まで連れて行き、上田署員に身柄を引き渡した。桜井容疑者は3時間20分の間に、線路内を約10キロ移動していた。
「認知症とか、病気ではなく、過去にそういう診断も受けていない。動機や、あるいは何の用事で乗車したのかも話さず、取り調べにもマトモに応じようとしない。あんなムチャをするぐらいだから、まるで常識が通用しない」(捜査事情通)
桜井容疑者は昨年1月、軽乗用車を運転中、赤信号を無視して交差点に進入し、原付バイクに衝突して19歳の男性にケガを負わせ、逃走し、ひき逃げで逮捕されている。