シーンに日本との接点はあるか。
94年の『メジャーリーグ2』のプロモーションを最後に公式には来日していないため、問題となる03〜06年に大阪に来ていた記録はない。
だが、彼が何度か大阪を訪れていたことを窺わせるこんな証言もある。
「94年に来日した際に、シーンは日本の有名タレントをガールフレンドにしたとされています。ですから、女好きの彼はその女性と会うために、その後も何度も日本に訪れているはずです。
シーンは年間2億円以上を買春のために使う人物。東京の歌舞伎町はもちろん、大阪のミナミや新地といった歓楽街を楽しんでいたとしても、何らおかしくはありません」(ハリウッド在住の芸能ジャーナリスト)
チャーリー・シーンによる感染拡大の可能性について、前出の加藤氏に聞いた。
「うーん、ありえません。一人の感染者によって拡大するケースは確かにありますが、それはあくまで、小さなコミュニティに限った話です。03〜06年の大阪のような年間約300人の新規感染者が出ている大規模な拡大は、一人の性に活発な感染者がいただけでは起こりえない。
HIVの感染者の8割は男性同性愛者です。感染がこれだけ拡大したということは、それこそ文化が変化するような、男性同性愛者の間での性事情の変化があったと予想されます。もしかしたら、コンドームを使用しない『アナルセックス』の頻度が急激に高まったのかもしれません。肛門での性行為は、HIVにかかる確率が非常に高い。そういう経験がある人の感染率は、ない人の約100倍です」
男性同性愛者ならば、それ以前から「アナルセックス」をしているのでは、と疑問を持つ人もいるだろう。03年から急に増える理由にならない、と。だが、それは勘違い。全員が肛門での性行為を行っているわけではない。同性愛者の約半数が経験がない、という調査結果もあるという。
加藤氏が言うようにアナルセックスが流行したとすれば、爆発的なHIV感染の要因になった可能性は否定できない。
実際、03年前後の大阪には若い男性同性愛者向けの出会いの場、いわゆる「ハッテン場」と呼ばれる店が次々とオープンしている。
HIV感染のリスクを知らない若者たちがそこに集まり、コンドームを装着せずに肛門での性行為を楽しむようになったとすれば、感染拡大の経路として、考えられなくはない。