1日にプロ転向した元公務員ランナー・川内優輝(32)=あいおいニッセイ同和損害保険=と昨年のジャカルタ・アジア大会覇者の井上大仁(26)=MHPS=が10日、ボストン・マラソン(15日)へ出発した。前回王者として臨む川内は「先頭集団で勝負したい。日本のマラソンが世界に通用することを証明したい」と意気込んだ。
プロ転向から10日。2~4日には3日連続で契約会見を行うなど多忙だったが「公務員時代と比べたら、時間に余裕はあった。想定した練習は消化できた」とコンディションには自信。地元である埼玉・久喜市の温泉にも4日連続で通い、体のケアもバッチリ。「幸せな人生を送っている」と充実感を漂わせた。
さらに、再び天を味方につけた。昨年大会は寒波による大雨と強風で体感温度が0度を下回る中で優勝。プロ初レースとなる今回も、曇り時々雨で最低気温2度の予報が出ており“川内日和”となりそうだ。「風も強くなると思う。泥仕合は望むところ」と日本人初の連覇へ笑顔を見せた。
現地では米大リーグ・レッドソックスの本拠試合で人生初の始球式も行う予定。「こちらの練習はしていないが…。ノーバウンドでできれば」と楽しみにしていた。
一方、初参戦の井上は「晴れて欲しい。今は天気が良くなることしか考えていない」と悪天候の予報に苦笑い。アジア大会では暑さへの強さを証明したが、雨中のマラソンは経験がない。「昨年のような大雨のコンディションになったら、1つ1つの判断が大事になる」と警戒する一方、「いくつか考えている対策はある。監督と相談しながらやっていきたい」。アジア大会では自らユニホームに小さな穴を開けるなど工夫しており、寒さへの秘策も準備できつつあるようだ。