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【プロ野球】

えっ!?ボクが平成最後!? 阪神・梅野がサイクル安打で大逆転勝ち

2019年4月10日 紙面から

8回裏2死一、二塁、梅野が右中間に適時二塁打を放ちサイクル安打を達成

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◇阪神12-8DeNA

 阪神が逆転勝ち。3-8の7回に糸井らの適時打などで3点を返し、8回に梅野の一発や失策に乗じるなどして計6点を奪った。梅野はサイクル安打達成。DeNAは新人の上茶谷が6イニング3失点と粘ったが、救援陣の不調に拙守が絡んだ。

    ◇

 大逆転の立役者だ。阪神の梅野隆太郎捕手(27)が9日、DeNA戦(甲子園)でサイクル安打を達成した。今季初めてで、プロ野球史上74度目(69人)、セ・リーグでは39度目(36人)。阪神では福留孝介が2016年7月30日の中日戦(甲子園)でマークして以来。梅野は2回に右翼線三塁打、4回に右前打、8回に左中間へ本塁打を放ち、さらに回ってきた打席で右中間へ二塁打を放って達成した。阪神は今季初の甲子園で最大5点差をはね返す逆転勝利を飾った。

 梅ちゃんスマイルがはじけた。4万6298人の大観衆と最後に大合唱だ。♪「明日も?」「勝つバイ」。博多弁のアドリブで盛り上げたのは勝利の立役者。「こんな日がくるなんて…」。梅野が史上69人目となるサイクル安打を達成し、大逆転勝利を演出した。

 一瞬、何が起こったのか分からなかった。それほどまでに必死だった。サイクル安打に王手をかけていたことにさえ、気づかない。周りをキョロキョロ。花束を受け取ると、虎党の大歓声が大記録を教えてくれた。

 左足薬指を骨折しながら出場する梅野に珍事が重なって幸運が訪れた。まずは2回1死一、二塁での第1打席、右翼線へ落ちた打球は1度は右翼・ソトの失策(落球)と表示されたが、記録が訂正されて三塁打。さらに安打、8回先頭でソロ本塁打を放ち、大記録に王手をかけると、今度は8回2死満塁から福留の右飛を右翼・ソトが落球。チェンジになるはずが3点適時失策で逆転すると、四球、左前打でつながったこの回2度目の打席で右中間への適時二塁打。球団捕手初の偉業を聖地に刻んだ。

 何とかして助けたかった。同じユニホームを着たガルシアに出会ったのは、太陽がキラキラ輝く宜野座の2月。初めてバッテリーを組む相手。コミュニケーションを大事にしよう。そんな矢先、助っ人からこんな言葉をかけられたという。

 「打たれても、リードとか気にすることないよ。全責任は俺が持つから」。昨季は、最下位チームの捕手としての悔しさを味わった梅野。うれしかった。だからこそ、苦しむガルシアを救いたい…その一心だった。サイクル安打を放っていることを忘れてしまうくらいに。繰り返すのは「バッテリーとして」の言葉。思いは力に変わった。

 仲間との絆は、チーム全体へとつながっていく。大逆転の8回終了後。全員がベンチ前でヒーローの帰りを待った。「全員で勝ち取った勝利だと思っています」。うれしさは同じ。全員でつかんだ本拠地開幕戦の白星。梅野が何度も拳を突き上げた。 (松井美里)

 

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