TOEICも860点を超えると、日本ビジネスコミュニケーション協会から最高のレベルA評価をもらえ、「非ネイティブとして十分なコミュニケーションができる能力を持つ」と判定される。 ここまできたら990点満点と意気込む人もいるが、それはよく考えてほしい。企業の第一線で活躍するビジネスマンを指導している人たちは、860点に到達したらTOEICは卒業と考えるべきと言う。 それは、900点到達は、それまでよりも時間がかかることからだ。そこで必要となるのは英語力より、クセのある問題をどう解くかといったTOEIC力だ。また、企業では仕事がデキるといわれている人ほど、早く現場で活躍することを求められる。それにはビジネス英語の勉強をしなくてはいけないことも含まれているかもしれない。 日常的な語彙力や専門用語のビジネス語彙強化など、スコアを取るだけの勉強とは、また違ったことをやらなければいけないのだ。 会議では他者の発言を聴いて、即座に自分の意見を返さなければならない。フォーマルな表現を選び使い分ける必要もある。業界ならではの言い回しや専門用語もある。厳しい交渉の席でカタコト英語を話して契約が取れるだろうか?そう、やるべきことは山ほどあるはずだ。 特殊な部署での勤務希望者や弁護士や会計士などの一部職種、表面上はレベルAでいいとしながら実は高いTOEICスコアを求める裏基準がある場合、仕事の能力がほぼ同じライバルが並んだ決め手として、TOEIC900点以上あると有利なことが多い。 つまり、時間や費用をかけても900点以上を目指したほうがいいのか、また実践のビジネス英語を学んだほうがいいのかはそれぞれの人の置かれた状況により変わってくるのだ。日々の仕事をこなしながら2つのことを同時に学ぶのは不可能だろう。 900点以上を目指すのは独学ではかなり難しい。書店に行けば900点を目指すというような本は多いが、実際にはスコアに直結するノウハウが書かれていない本がほとんどだ。 短期間で結果を出したいのなら、実績のある英会話スクールに行くか、トイッカーと呼ばれる人たちが集まるセミナーに参加してみるのも手だ。そこではいわゆる韓国式TOEIC対策を行っていて、韓国ETSの新公式問題集を山のように解く訓練をしている。しかし、これは忙しいビジネスマンには向いていないのかもしれない。 一方、ビジネス英語を学ぶのなら、必要に迫られるスキルから訓練するべきだ。交渉にあたる立場ならスピーキングから、英文レターや書類のやり取りが中心ならビジネスライティングから、というふうに優先順位をつけていくのだ。 ビジネス英語は日常会話とはレベルが違う。ただ英語で伝わればいいのではない。特に、アメリカでは正しい文法や丁寧な英語を使っているかどうかで、こちらの能力を判断する傾向がある。第一印象でつまずかないためにも、こうした訓練は避けて通れないのだ。 ビジネス英語の習得にも、そんなに時間はかけられないだろう。多くのビジネスマンにとって英語はあくまで手段なのだから。本当の目的は仕事で成果を出すことなのだから、そのためにも英語はなるべく短期間で身につけて、グローバルに活躍できる夢を叶えよう。 |