楽天が土壇場で追い付き、延長12回で引き分けた。2-5の9回に田中の適時内野安打で1点を返し、2死一、二塁から浅村、島内の2者連続適時打で同点とした。オリックスは増井が誤算。打線も5回以降は1安打に抑え込まれた。
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「ファーストの銀次が、捕手」。9回裏、守備位置変更のコールに場内がどよめいた。
楽天は3点を追った9回1死、捕手の足立に代打・藤田を送った。捕手を使い果たしたこの場面から3連打などで追い付き、9回裏へ。マスクをかぶったのが、捕手経験のある銀次だった。
サインはベンチから出し、延長12回まで4イニング無失点。9回2死一塁では西浦の盗塁も刺した。平石監督は「勝ち以上の引き分け。キャンプの時から準備させていたが、まさかこんなキンキンの場面でとは、想定していなかった。良くやってくれた」と満面の笑みだ。
緊迫、緊張の「キンキン」の局面は想定外ながら、銀次の捕手起用は想定していた。足立への代打も指揮官は「銀次がいたから思い切って勝負にいけた」。捕手2人制なのも、このプランがあったから。とはいえ、銀次が捕手だったのは入団から3年間だけ。捕手として最後の試合は2009年9月24日のイースタン・リーグ、ヤクルト戦(戸田)までさかのぼる。
14年目で初の1軍捕手出場となった銀次は、松井のスライダーや森原の150キロ速球で三振も奪った。「意外に大丈夫。いい投手の球を受けられたのは自信になった。必ずプラスになる。でも、脚は激痛」。普段と違う疲れだったようだ。 (竹村和佳子)