格闘技イベント「RIZIN」の榊原信行実行委員長(55)は8日、自身のツイッターでプロボクシング世界6階級王者マニー・パッキャオ(40)=フィリピン=が21日開催の「RIZIN.15」(横浜アリーナ)に携わることを明らかにした。
昨年大みそかには、元世界5階級王者フロイド・メイウェザー(42)=米国=とキックボクシング界の“神童”那須川天心(20)=TARGET=のエキシビションマッチが話題になり、それに続く超大物とのタッグ。RIZINは9日に都内で会見予定で、注目が集まる。
RIZINが、またもワールドクラスの超大物を連れてくる。榊原氏はパッキャオと握手を交わす写真と、同選手が資料を読み込む姿の写真をツイッターに掲載。「現在、実はフィリピンに来ています。メイウェザーに続き、RIZIN.15ではこの男と新たな仕掛けを行います。帰国したらすぐに発表しますので、楽しみにしていてください」と記し、ビッグイベントを予感させた。
昨年11月には、大みそかのメイウェザーと那須川の異種格闘技戦を発表。直後にメイウェザーが自身のインスタグラムで試合について「合意していない。不意を打たれた」と主張するなど、世界的なトラブルメーカーを巡ってドタバタが続いた。体重やルールの問題など折り合いがつかずに興行が成立しなくなる懸念もあったが、RIZIN側は粘り強く交渉を継続。エキシビションマッチという位置付けで、伝説のボクサーを初めて日本のリングに上げた。第2弾は、まさかまさかのパッキャオと組むことに成功したようだ。
フィリピンの貧しい農家出身のパッキャオは拳一つで夢をつかみ、母国で国会議員も務める英雄。2015年5月にメイウェザーと相まみえた試合は、両者のファイトマネーが合計550億円という「世紀の一戦」と呼ばれた。パッキャオはアウトボクシングを徹底したメイウェザーに判定負け(0―3)した。昨年7月にはWBA世界ウエルター級王座に挑戦し、通算10度目の世界王座獲得。1月に初防衛に成功し、生観戦したメイウェザーとの再戦が噂されていた。
RIZINは9日に「RIZIN.15」に関する会見を行い、詳細が発表される可能性もある。世界のボクシング史に名を刻む生きる伝説が、21日の興行にどのような形で関わるのか、目が離せない。
◆パッキャオ伝説
▽世界6階級制覇 98年のWBCフライ級王座から10年の同スーパーウエルター級王座獲得まで、オスカー・デラホーヤ(米国)に続く2人目の世界6階級制覇。同年11月に現役復帰。18年7月には通算10度目の世界王座を獲得した。
▽貧しい選手を援助 フィリピン・ミンダナオ島の貧しい農家出身で、花を売って路上で生活していた。自身と似た境遇の選手を助けるため、母国で無料開放のジムを創設。昨年5月に日本でIBF世界ミニマム級王者に挑戦したビンス・パラスは、パッキャオに病気の父親の治療費を援助してもらったことがあり、パッキャオのジムでボクシングを始めた。
▽マルチに活躍? 大のバスケットボール好きで、14年10月に監督兼選手としてプロチーム「キア・ソレント」のリーグ戦に先発でデビュー。当時33歳で7分間プレーし、チームは80―66で勝利。05、08、09年には主演映画が公開され、俳優としても活動した。
◆メイウェザー―那須川戦VTR(18年12月31日、さいたまスーパーアリーナ、観衆2万9105)ボクシングルールで3分×3回のエキシビションマッチ。メイウェザーは前日計量66・7キロ、グラブは10オンス。那須川は62・1キロ、8オンス。メイウェザーは初回に那須川の左カウンターを受けると、高速左フックで簡単にダウンを奪った。立て続けに右ボディーからの右フックで2度目のダウン。最後は左フックで3度目の尻もちをつかせた。わずか24発のパンチで1回2分19秒TKO勝ち。那須川はキック1発につき罰金数億円と不利なルールだった。
◆RIZIN 国内最高峰の立ち技、総合格闘技の興行。興行名の由来は日本発の「ライジング・サン」や「雷神」。「PRIDE」(1997~2007年)を運営していた榊原信行氏が創設した。15年12月29~31日に旗揚げされ、今月21日が15回目の大会。エメリヤーエンコ・ヒョードルや、元大相撲力士の大砂嵐、女子のRENAら多数の大物格闘家が参戦してきた。