戦前の軍事指導者は昭和天皇と憲法を“軽視”して暴走した
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平成の天皇は在位30年の折のお言葉でも、「平成という時代には戦争がなかった」ことに触れ、声を震わせられた。このお言葉はご自身の在位期間に戦争がなかった事実にのみ触れられているように受け止められたが、実際はもっと歴史的な広がりを持っているように思われる。私の判断では、先帝の昭和天皇だけではなく、明治、大正の両天皇にも報告しているように感じられた。
いずれの天皇も自らの時代の戦争には消極的であった。時には戦いは避けたいと発言し続けている。にもかかわらず戦争は起こった。平成の天皇はそのことを無念に思いながら、このお言葉を国民に伝えたように、私には思われる。
そこで今週の5回は、近代の天皇と戦争の関係について大まかに触れておくことにしよう。歴代の天皇がなぜ戦争に反対であったり、消極的だったのか、それを探ることによって、軍事指導者、いや時には政治指導者がどういう圧力をかけたかが浮かび上がってくる。それを確かめておくべきだと思う。