豊洲騒然 “戦慄エレベーター”死亡事故には予兆があった
取り返しのつかない悲惨な事故だが、日刊ゲンダイが“戦慄エレベーター”と既報(3月7日号)した通り、予兆はあった。豊洲市場では、これまでもエレベーターがらみの重大事故が多発していたからだ。昨秋の開場からわずか2カ月強だけでも82件に上っていた。
実際、東京都は市場内のエレベーター付近に注意喚起として、<エレベーターのシャッターによる重大事故が発生しております。エレベーターの乗り降りは慎重に。>と貼り出しているほどだ。
「今回の死亡事故は、起こるべくして起こったように思います。開場してから半年の間にエレベーターによる事故で脳挫傷になったり、失明したりした人がいるという話もありますから。都に『(事故への)対応がおかしい』と伝えても、改善するそぶりはありませんでした」(東京中央市場労組の中澤誠執行委員長)
都と豊洲市場協会は連名で、「昨年10月の開場以来、豊洲市場協会交通委員会などを通じまして、場内の交通ルールを守るように努めてまいりましたが、今回のような重大事故が発生しましたことにつきましては、重く受け止めております」とのコメントを発表。あたかも「ターレの操縦者が悪い」と言わんばかりだが、建築エコノミストの森山高至氏は「都は、業者の市場での忙しさを想定した上で、不測の事態に備えていなかったのか」と疑義を呈した。