長野減るライチョウ、手を打って 信大の中村名誉教授講演
絶滅が危ぶまれている国特別天然記念物のニホンライチョウを守る方策を考える講演会が、松本市中央のMウイングで開かれた。県内外の高山で保護に取り組む信州大の中村浩志名誉教授(72)=鳥類生態学=が講師で、登山ガイドや山小屋関係者、登山愛好家など市内外の119人が耳を傾けた。 松本市のNPO法人・信州まつもと山岳ガイド協会やまたみが主催。ライチョウの現状を山岳関係者に知ってもらい、保護の機運を盛り上げようと開いた。 中村名誉教授は二十年近くライチョウ研究に携わる第一人者で、発信機による生態調査やDNA解析による遺伝系統の分類などで多くの成果を上げてきた。 この日は、ライチョウが国内では北、中央、南アルプスなど、標高二、二〇〇メートル以上の高山にしか生息できないことや、一九八五年時点で三千羽ほどいたのが、現在は約千七百羽に激減していることを説明した。 減った原因には、人間活動の影響を指摘。登山者の捨てるごみを目当てに、高山に進出したニホンザルやハシブトガラスにひなや卵が捕食されていることや、地球温暖化による低山性の植物の進出、シカなどによる食害で、エサとなる高山植物が失われつつあることなどを挙げた。 その上で、高山でサルを見つけたら追い払うことや、高山植物の保全、ライチョウを見つけた際に写真を撮って環境省に提供することなどを呼び掛けた。 ひな連れのライチョウをケージで保護し、ひなの生存率を高める活動も紹介し、一定の成果を上げつつあることを報告。「数が減りすぎては絶滅から救えない。コウノトリがその例。今手を付けないと危ない」と訴えた。 (川添智史) 今、あなたにオススメ Recommended by PR情報
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