提督の憂鬱 作:sognathus
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何事もなく旧交を温める事ができたらいいのですが、さて……。
彼女「じゃ、再会を祝して」
提督「乾杯」
チン
彼女「全く、ビール一杯でいきなり変な反応するんだも何事かと思ったわよ」
提督「すまん。何故か急にな。今は大丈夫だ」
彼女「……ちゃんと健康管理してる?」
提督「体作りはしている」
彼女「それ、健康が管理できてなかったら、ただ体をいじめてるだけよ?」
提督「む……」
彼女「基地の食事を摂っていれば大体問題ないとは思うけど、偶には料理とかもしたほうがいいわよ?」
提督「君のおかげでそれは、今や俺の趣味になっている。だからその点は大丈夫だ」
彼女「むっ、悪かったわね」
提督「……あれからどうだ?」
彼女「どうって?」
提督「苦手な事だ」
彼女「なんで気にするのよ?」
提督「別れてからは、自分でまたしないといけなくなっただろ? ちゃんとできているのかと思ってな」
彼女「少なくともあなたに心配されない程にはマシになったと思うわ」
提督「ほう? 料理も作れるように?」
彼女「わたし、才能豊かなのよ?」ニッ
提督「自分で言うか」
彼女「自惚れでない自信だからね。断言させてもらうわ」
提督「相変わらずだな」
彼女「……惚れ直した?」
提督「その言葉は聊か不適切だな。別れたのはどちらかというと俺が逃げたのが原因だからな」
彼女「でも起因は私よね?」
提督「だからと言って君自身が嫌いになったわけじゃない。元々俺は君には良い印象を抱いていた。そしてそれは今も変わらない」
彼女「不適切だって言ったのはそういう事?」
提督「そうだ」
彼女「それじゃ、まだ私にもチャンスはあるって事?」
提督「チャンスだなんて言うな。君が全部悪いとは思っていない」
彼女「寄りは戻してくれないの?」
提督「……再会してから思っていたが、まだ俺のことが好きなのか」
彼女「一目惚れよ?」
提督「……そうだったな」ゴク
彼女「答えは?」
提督「俺は君ほど肌を重ねてはいないとは言え、既に何人もの娘に告白され、更にその内に何人かとは体を結んだ人間だぞ」
彼女「ふふ、あなたにしては大したものだと思うわ」
提督「そこは軽蔑するところだろ」
彼女「好きなのは仕方ないの」
提督「武蔵はどうした?」
彼女「気を遣ってくれたわ。あの子、あれでいざという時はやってくれるのよ?」
提督「良い奴とケッコンしたな」
彼女「そういう言い方しないでよ。確かに私、あの子のこと愛してるけど、それはあなたも同じなのよ?」
提督「君は同時に好きな人を愛せるほど器用だったか」
彼女「提督をやってたら誰だってそうなるんじゃない?」
提督「耳が痛い話だ」
彼女「それで?」
提督「ん……」ゴク
提督「っふぅ……。密会や秘愛のような尾を引く真似はしたくない」
彼女「そう……」
提督「だから皆が、武蔵が認めるのなら、な」
彼女「っ、それ本気で言ってる?」
提督「ああ」
彼女「……ふふ」
提督「ん?」
彼女「んーん、お酒が美味しいの」
提督「今まで美味しくなかったのか?」
彼女「普通。でも今のは凄く美味しい」
提督「ほら……」
彼女「え? 私泣いてた?」
提督「今も、だ」
彼女「やだ、恥ずかし」カァ
提督「返さなくていいぞ」
彼女「ん……、ありがとう」
提督「……すまなかったな」
彼女「気にしないで。来た甲斐があったわ。本当に」
提督「期待していたのか?」
彼女「しないわけないじゃない。これでも結構緊張していたのよ?」
提督「そうか……」
彼女「ねぇ」
提督「ん?」
彼女「今も緊張してる……」
提督「……」ポン
彼女「あ……」
提督「今は、これで我慢してくれ。やはり秘め事にはしたくない」
彼女「うん……♪」
その頃、港
長門「そんなところで何してるんだ?」
武蔵「なんだ。老朽艦か。ほっとけ。今は一人になりたいんだ」
長門「相変わらず口が悪いな。自信があるのは結構だが、それだと嫌われるだけだぞ?」
武蔵「別に、提督さえいればいい……」
長門「……まぁ、な」
武蔵「……大佐はいい男か?」
長門「ああ。お前も惚れるかもしれないぞ」
武蔵「私は、提督の、あいつの胸がいいから、それはない」
長門「……本当に好きなんだな」
武蔵「……一目惚れだからな」
長門「なるほど……」
武蔵「なぁ」
長門「ん?」
武蔵「やっぱり寂しい」グス
長門「そうか。じゃあ私の部屋に来い。皆と一緒に酒でも飲もう」
武蔵「受け入れてもらえるだろうか」
長門「提督が好きな奴に悪い奴はいないさ。皆、それくらい解っている」
武蔵「……そうか」
長門「ああ、そうだ。……来るか?」
武蔵「ああ。ご相伴に預からせてもらおう」
長門「殆ど酒しかないぞ?」
武蔵「酒も飯だ」
長門「ふふ、なんだそれ。上手い事言ったつもりか?」
武蔵「えっ?」
長門(天然だったか。こいつも可愛いな)
最近、長門の抑制が利かなくなってきてるような……。
ま、武蔵だったら大丈夫でしょう!