提督の憂鬱   作:sognathus
<< 前の話 次の話 >>

131 / 396
提督と少将は再開を祝して飲むことにしました。
何事もなく旧交を温める事ができたらいいのですが、さて……。


第7話 「お祝い」

彼女「じゃ、再会を祝して」

 

提督「乾杯」

 

チン

 

 

彼女「全く、ビール一杯でいきなり変な反応するんだも何事かと思ったわよ」

 

提督「すまん。何故か急にな。今は大丈夫だ」

 

彼女「……ちゃんと健康管理してる?」

 

提督「体作りはしている」

 

彼女「それ、健康が管理できてなかったら、ただ体をいじめてるだけよ?」

 

提督「む……」

 

彼女「基地の食事を摂っていれば大体問題ないとは思うけど、偶には料理とかもしたほうがいいわよ?」

 

提督「君のおかげでそれは、今や俺の趣味になっている。だからその点は大丈夫だ」

 

彼女「むっ、悪かったわね」

 

提督「……あれからどうだ?」

 

彼女「どうって?」

 

提督「苦手な事だ」

 

彼女「なんで気にするのよ?」

 

提督「別れてからは、自分でまたしないといけなくなっただろ? ちゃんとできているのかと思ってな」

 

彼女「少なくともあなたに心配されない程にはマシになったと思うわ」

 

提督「ほう? 料理も作れるように?」

 

彼女「わたし、才能豊かなのよ?」ニッ

 

提督「自分で言うか」

 

彼女「自惚れでない自信だからね。断言させてもらうわ」

 

提督「相変わらずだな」

 

彼女「……惚れ直した?」

 

提督「その言葉は聊か不適切だな。別れたのはどちらかというと俺が逃げたのが原因だからな」

 

彼女「でも起因は私よね?」

 

提督「だからと言って君自身が嫌いになったわけじゃない。元々俺は君には良い印象を抱いていた。そしてそれは今も変わらない」

 

彼女「不適切だって言ったのはそういう事?」

 

提督「そうだ」

 

彼女「それじゃ、まだ私にもチャンスはあるって事?」

 

提督「チャンスだなんて言うな。君が全部悪いとは思っていない」

 

彼女「寄りは戻してくれないの?」

 

提督「……再会してから思っていたが、まだ俺のことが好きなのか」

 

彼女「一目惚れよ?」

 

提督「……そうだったな」ゴク

 

彼女「答えは?」

 

提督「俺は君ほど肌を重ねてはいないとは言え、既に何人もの娘に告白され、更にその内に何人かとは体を結んだ人間だぞ」

 

彼女「ふふ、あなたにしては大したものだと思うわ」

 

提督「そこは軽蔑するところだろ」

 

彼女「好きなのは仕方ないの」

 

提督「武蔵はどうした?」

 

彼女「気を遣ってくれたわ。あの子、あれでいざという時はやってくれるのよ?」

 

提督「良い奴とケッコンしたな」

 

彼女「そういう言い方しないでよ。確かに私、あの子のこと愛してるけど、それはあなたも同じなのよ?」

 

提督「君は同時に好きな人を愛せるほど器用だったか」

 

彼女「提督をやってたら誰だってそうなるんじゃない?」

 

提督「耳が痛い話だ」

 

彼女「それで?」

 

提督「ん……」ゴク

 

提督「っふぅ……。密会や秘愛のような尾を引く真似はしたくない」

 

彼女「そう……」

 

提督「だから皆が、武蔵が認めるのなら、な」

 

彼女「っ、それ本気で言ってる?」

 

提督「ああ」

 

彼女「……ふふ」

 

提督「ん?」

 

彼女「んーん、お酒が美味しいの」

 

提督「今まで美味しくなかったのか?」

 

彼女「普通。でも今のは凄く美味しい」

 

提督「ほら……」

 

彼女「え? 私泣いてた?」

 

提督「今も、だ」

 

彼女「やだ、恥ずかし」カァ

 

提督「返さなくていいぞ」

 

彼女「ん……、ありがとう」

 

提督「……すまなかったな」

 

彼女「気にしないで。来た甲斐があったわ。本当に」

 

提督「期待していたのか?」

 

彼女「しないわけないじゃない。これでも結構緊張していたのよ?」

 

提督「そうか……」

 

彼女「ねぇ」

 

提督「ん?」

 

彼女「今も緊張してる……」

 

提督「……」ポン

 

彼女「あ……」

 

提督「今は、これで我慢してくれ。やはり秘め事にはしたくない」

 

彼女「うん……♪」

 

 

その頃、港

 

長門「そんなところで何してるんだ?」

 

武蔵「なんだ。老朽艦か。ほっとけ。今は一人になりたいんだ」

 

長門「相変わらず口が悪いな。自信があるのは結構だが、それだと嫌われるだけだぞ?」

 

武蔵「別に、提督さえいればいい……」

 

長門「……まぁ、な」

 

武蔵「……大佐はいい男か?」

 

長門「ああ。お前も惚れるかもしれないぞ」

 

武蔵「私は、提督の、あいつの胸がいいから、それはない」

 

長門「……本当に好きなんだな」

 

武蔵「……一目惚れだからな」

 

長門「なるほど……」

 

武蔵「なぁ」

 

長門「ん?」

 

武蔵「やっぱり寂しい」グス

 

長門「そうか。じゃあ私の部屋に来い。皆と一緒に酒でも飲もう」

 

武蔵「受け入れてもらえるだろうか」

 

長門「提督が好きな奴に悪い奴はいないさ。皆、それくらい解っている」

 

武蔵「……そうか」

 

長門「ああ、そうだ。……来るか?」

 

武蔵「ああ。ご相伴に預からせてもらおう」

 

長門「殆ど酒しかないぞ?」

 

武蔵「酒も飯だ」

 

長門「ふふ、なんだそれ。上手い事言ったつもりか?」

 

武蔵「えっ?」

 

長門(天然だったか。こいつも可愛いな)




最近、長門の抑制が利かなくなってきてるような……。

ま、武蔵だったら大丈夫でしょう!


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。