イチャイチャハンティング。略してチャーハン。
旅の装備を整えた俺たちは一路アスチラン地方の隠れ里へと向かった。
辻馬車に乗って行くつもりだったのだがマイラの提案により徒歩で行き、途中に出没する魔物を狩りながら向かうことになった。今のまま向かってもレベル1じゃ死にに行くようなものなので,レベルをあげながら向かう方がいいと言うことだ。
「そうだ、
「問題ありませんよ」
マイラは俺の言葉にサムズ・アップして答える。あらやだ男前。
「それと、
「へ? メルティナ? 御山の精霊龍様のこと?」
「……はい」
「なんで、危険だから御山には近づくなって村長に言われてたでしょ。というか精霊龍様にあったの?」
「……はい、戦いました」
「戦うって……。なんで、そんな」
「だって、男の子だもの」
「ガリウス、そんなの言い訳にならないよ? 死んだらどうするの!?」
本気で心配するミスティアに申し訳ないと思いつつも、あのときの俺にはそれだけが心の拠り所だったのだからしかたがない。でも、本当のことを言ったらミスティアは喜んでくれるだろうか? いやこの怒りようだと喜ばないだろうな。うん、本当のことは言わないでおこう。
「がー君もミスティアも左舷から敵が来ますよ」
「さげん?」
「あー左です左」
マイラの言葉通り左からブータンと言う劣化オークと言うべき魔物が三体飛び出した。
俺はすぐさま前に出て剣を抜くと、一匹のブータンの頭部に剣を振り下ろした。しかしその頭は固くガキンと言う音と共に弾かれ剣を落としてしまった。その隙を見逃さずブータンは俺に襲いかかってきた。
「ガリウス!」
ミスティアが俺の前に立ちブータンのみぞおちに剣を突き立てる。ブータンは不気味な断末魔をあげて仰向けに倒れた。マイラもそれに続きブータンを倒した。
ちなみに最後の一匹もマイラが倒した。俺はいいところなしだ。
「ガリウス、ブータンは頭の固さは鋼鉄並みだから狙うなら腹部よ」
ミスティアはさすがというべきか魔物の弱点を熟知していた。
「うん、助かったよ。今までどんな魔物も一撃だったから弱点なんて気にしたことなかったから」
その時俺の頭の中に何かの声が走った。
『
「ええと、なんか
とは言え
「ガリウスも!? 私も視覚強化が手に入ったわ」
視覚強化は遠目が効くようになりレベルが10上がる毎に暗視や透視等が手に入るのだと言う。
「多分、勇者パーティだからだわね、勇者パーティは
マイラの説明では通常
「ということはマイラは何も手に入らなかったの?」
「うん、私は
「なんか俺たちだけ
「別に気にすることないわよ、がー君。それともか弱い私を守りたかったんですか?」
そう言うとマイラは俺にしなだれかかる。
「ちょ、マイラ! そう言うのは落ち着ける場所ができたらって話だったでしょ!」
「めんごめんご、でもミスティアもイチャイチャしてたんだし、おあいこでしょ?」
「う~ん、そうだけど」
「ふふふ冗談よ冗談、ちょっとスキンシップしただけだから焼きもち焼かないの」
「マイラ年下なのに、なんかお姉さんみたいなんだけど」
「ちょっとミスティア、女性に年齢を聞いて良いのは旦那様だけですよ。それともミスティアが私の旦那様になる?」
そう言うとマイラはミスティアの顎をクイッと持ち上げるとキスをしようとした。
ミスティアは震えながらもそのキスを受け入れようとして――。
「ちょっとまった!」
「なんですか、がー君」
「ミスティアのファーストキスは誰にも渡したくないんだけど?」
「がー君はバカですね。ミスティアのこの唇が他の人を知らないとでも?」
「え? そうなのかミスティア」
俺の疑問にミスティアは涙目になり「ガリウス、私は信じてもらえなくて悲しいです」と言うと手で目元を隠した。
ミスティアの言葉に俺の心がチクリと痛む。
「気をつけてがー君。こういうこと言う女はたいていビッチよ!」
「え? ちょマイラあなたが言えっていったんじゃない」
ビッチと言われたミスティアは泣き真似をやめマイラに講義する。おい。
「あ~早いわよ。もう少しがー君をドキドキさせないと」
「え、そうだったの?」
ビッチ発言にミスティアが焦ってネタばらしをしてしまったせいでマイラの計画がずれたようだ。どうやら俺をのけ者にして話してたのはこのドッキリをするための作戦だったようなのだ。
「もう少しがー君を驚かして、がー君のミスティアに対する心を見たかったんだけどな~」
「う~、なんか納得いかないけどごめんなさい」
「ミスティアも、もう少しガリウス離れしないとね?」
マイラはミスティアの頬をクリクリと指で押すとからかうように茶化す。
「俺は別にそう言うのは気にしないよ。ミスティアが今側にいてくれるのが嬉しいから」
「私、初めてじゃないけど他人とはしてないよ?」
「?」
「おや、おやおやおや。もしかしてお二人はすでに経験済みですか?」
マイラが口に手を当ててイヤらしい物でも見るように俺たち二人を交互に見る。まてまて、俺はそんなことした記憶ないぞ。
「いつの話だ?」
「……忘れちゃったんだ?」
「がー君、最低ですね」
マイラは俺を汚物でも見るような目で蔑むように見る。
「いやいや、だって俺って童貞だよ? そういうのした覚えないんだけど」
俺がそう言うと、ミスティアは俺の横腹を思いっきりつねる。
「痛った!! ちょ、ミスティアひどいな」
「き、キスのことよ!」
「ああ、キスかキスなら覚えてるよ。焚き火を囲んでダンスをしたときだろ」
俺が覚えてるのが分かるとミスティアは頬を赤らめて下を向く。ふむ、かわいい。
「ちょっと待ってください。それ何歳のときですか?」
今度はマイラが俺の言葉に納得がいかないと言うような体で疑問を口にする。
「確か9歳くらいだったよな」
「そ、そうね、そのくらいよ」
俺たち二人の言葉を聞くと、マイラは手をパチパチと叩き出す。
「はい、ノーカン! はい、ノーカン! 10歳以下のキスはノーカンです!! では、私がいただきます!」
マイラがジャンピングアタックで俺に突進してくる。このまま唇を奪われれば多分歯も奪われる。俺はとっさにマイラの肩に手を当て突進を止めた。
「くっ、まさかあの訓練がここで生きようとは」
「危ないからね! 今の本当に怪我するからね!」
「ふん、がー君はイケズですね」
「ハハハそりゃそうさ俺はイケメンだからね」
「そうだねガリウスはイケメンだよね」
「「え?」」ミスティアが満面の笑顔でそう言うと俺とマイラは思わず声をだして驚く。俺がイケメン? いつから俺イケメンになったんだ?
「ミスティア、冗談ですよね? がー君がイケメン? ランスロットみたいのがイケメンって言うんですよ」
なかなかにマイラはひどいとは思うが、確かにあいつは俺も認めるイケメンだ。仮に俺がイケメンだとしたらあいつは神になる。
「ランスロット? 正直イケメンというより目がキリッとしてて怖いよね」
「う~ん。ミスティアちょっと良い?」
そう言うとマイラはミスティアをつれて、こそこそと何か話し出した。俺も入れて欲しいがこう言う女子だけの話に男が入るのはいけないと聞いたことがある。なんでも”秘密の花園は男子禁制”だとか。
仕方がないので俺はチョロチョロ出てくる魔物を一人で狩って二人の話し合いが終わるのを待った。
「大変だよがー君、ミスティアの目にはがー君が50%増しで良い男に見えてるみたいなんだよ」
「だから違うって! 私はガリウス一筋なの!」
マイラの言葉を否定したミスティアは自分が何を言ったか思い出し赤面してその場で座りこみ顔を太ももに隠した。
「もう、マイラってばなんなのよ……」
「なにこのかわいい生物。私の嫁にして良い?」
マイラがマジ顔でそう言うので俺はミスティアを抱きしめてマイラを威嚇した。
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