シビル・トレローニのいない世界   作:一文
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ハーマイオニー・グレンジャーもまたグリフィンドールの寮であぶれている新入生だった。

彼女が爪弾きにされているのは、彼女の両親が共に歯医者を営んでいるマグルだからというわけでもなければ、歯に衣着せぬような強気な性格だからでもない。孤独を愛しているわけでもなければ、協調性に乏しい性格というわけでもない。

それなりに社交的に振る舞うこともできた。

ある程度の親切心も備えていた。

そして少なからず友人を欲しいと思っていた。

 

ただ彼女は子供には好かれない性質なのだろう。

 

昔から彼女には同年代の友人はいなかった。

スクールに通っていたときも、その前のときも、彼女はごく自然と同年の集団から外されて、一人でつまらなそうな顔を浮かべるような子供だった。

誰しもが進んで彼女を除け者にしたわけではない。

話しかければ答えてくれる。邪険に扱われるわけでもない。

ただ、同級生たちは自然と彼女から離れていき、仲間に引き入れることはない。それだけだった。

もちろん、彼女も努力をしなかった訳ではない。

同年の子供が見ている退屈なテレビ番組を見て、人気の三文小説を読んだ。両親に気づかれないようにこっそりとカウンセラーに相談もした。

しかし、それは上手くはいかなかった。

あなたは他の人との間に壁を作りすぎている、ハッカのような臭いをプンプンさせた中年のカウンセラーはヘラヘラと笑いながらそう言った。勇気を持ってその壁を取り払えば、きっとあなたにも友達ができるはず。

しかし、彼女にはその月並みで無責任な言葉がいまいちよくわからなかった。

私は他人との間に壁を作ったことなんてない、彼女の主張にカウンセラーは嘲笑に似た笑い声を上げた。

きっと彼女が心理学やらカウンセラーが嫌いなのは、どうしてもその時のことを思い出してしまうからだろう。

彼女は僅かでもカウンセラーに期待してしまったことを後悔した。

 

そんなときに魔法学校からの手紙が来た。

スクールから帰ったばかりの彼女はその宛先を見て、無性に気が立った。

馬鹿馬鹿しいと手紙を破り捨て、屑籠に放り込んだら、翌日も同じ手紙がボストに入っていた。

 

 

  

 

グレンジャーは有能だった、とドラコは思った。

余計なことは話さない上に、手際もいい。

グリフィンドールで浮いているからだろうか、ドラコの姓に対して無条件で攻撃をしてくることもなかった。

手伝いなどいらないと思っていたドラコであったが、グレンジャーの手出しを不快に感じることはなかった。

一言も喋らなずに黙々と作業をこなすドラコに、まるで古くからの馴染みの助手のように黙って必要な材料を渡し、きっちりと鍋を掻き回した。


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