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なつは 戦争で 父親と母親を亡くし孤児となりました。
ある日 父の戦友だった人に北海道の十勝へ連れてこられました。
そこにいたのは 北の大地で暮らす開拓者の家族でした。
(なつ)私を ここで働かせて下さい。
(泰樹)その方が その子もここに いやすいと言っとるんだべ。
(剛男)言ってませんよ。言ってます!
言ってるんでないか。(富士子)いいから なっちゃん。
それでこそ 赤の他人じゃ。明日から 夜明けとともに起きて働け。
おはようございます!
(泰樹)お前は 堂々としてろ。堂々と ここで生きろ。
♪~
♪~
信さん…。
昔 この道を走って逃げたことがあるんだわ。
(信哉)逃げた? なっちゃんが?
そう。
まだ ここに来たばっかりの頃だった。
どうして?ここにいるのが つらかったのか?
どうしても お兄ちゃんに会いたくなって。
さようなら…。
なつは 柴田家を 後にしたのです。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪「口にする度に泣けるほど憧れて砕かれて」
♪「消えかけた火を胸に抱きたどり着いたコタン」
(鳴き声)
おはよう!(菊介)あっ おはようございます!
(悠吉)富士子ちゃん 今日も おきれいで。
知ってる。アッハハハハ…。
ちょっと!なっちゃん いつまで働かせてるの?
えっ?学校に遅れちゃうでしょ。
なっちゃん どこ?今朝は なっちゃん 寝坊してんだろ?
ええっ? 何言ってんの!
とっくに起きてるでしょ。
どういうこと?えっ どういうこと?
なっちゃんのかばんがない!ほら あの… 東京から持ってきたやつ!
だから どういうこと?
(剛男)だから 知らないよ!
おい いないのか?
だから いない…。
何か あったんでしょうか?
知らん。
別に 何もなかったわよ。
昨日だって 普通にね…。
あっ!夕見子が 何か 昨日 変なこと言ってた。
変なこと?
ほら 明美に あの子が何かしたって。本当かい?
本当だよ。
何してたんだ?だから 明美を泣かしてたのよ。
(剛男)泣かしてた? 何かの間違いだろ。
明美 なつお姉ちゃんに何か されたのか?
(泣き声)
ほら 明美は 何でもないのにすぐ泣くじゃないか。
あの子 分かんない!
学校でも 何言われたって怒んないし何考えてんのか さっぱり分かんない!
東京か。(剛男)えっ?
東京に行ったのかもしれん。
東京に 一人で?
まさか…。
なつは なんとか 帯広に着きました。
だけど 一文無しです。
食べるものも東京へ行く切符を買うお金もありません。
なつは それを稼ぐつもりでした。
♪~
<この時 私はあの浮浪児であふれた上野の街を思い出していました>
運べ。
(咲太郎)おい なつ 千遥 出かけるぞ。
お兄ちゃん!(千遥)お兄ちゃん!行こうか。
うわっ 米兵さんだ!
ギブ ミー チョコレート!
チョコ チョコ チョコ チョコ…!チョコレート トゥ ユー。 オーケー。
サンキュー。
♪「俺は村中で一番 モボだと言われた男」
♪「うぬぼれのぼせて得意顔東京は銀座へと来た」
♪「そもそもそのときのスタイル」オ~! ジャパニーズ チャップリン!
エノケン!♪「青シャツに真っ赤なネクタイ」
♪「山高シャッポにロイド眼鏡ダブダブなセーラーのズボン」
♪~
いいぞ いいぞ!
<兄の咲太郎は 時々 こうやってアメリカ人と仲よくなってすてきなものをたくさん買い込んできました。それを 闇市の店に売ってお金を増やすのです>
こうやって 金をためていけばいつか また 父ちゃんと母ちゃんの店が建てられるぞ なつ。
本当?ああ。
きっと 兄ちゃんが建ててみせる。
また そこで千遥と なつと 3人で暮らそう。
兄ちゃんが 必ず父ちゃんの店を継ぐから。
うん…。
あっ ハハ… 信も一緒に暮らそうな。
いいよ 僕は。 家族じゃないし。
ダメよ! 信さんも一緒じゃないと。
一緒がいい!
ありがとう。
お前は もう 俺たちの家族だろ。水くさいこと言うなよ。
ハハッ 何だよ 最初は忘れてたくせに。
ごめんって…。(魚が跳ねる音)
おっ 来た!
お~!お~!すげえ!
鯉だ! 鯉!鯉 久しぶりだね!
お~… ハハッ…。
よいしょ…。あっ そうだ なついいもん買ってきたんだ。
えっ?はい。
アメリカ製の靴墨だ。これがあれば もっと客が来るぞ。
悪いけど もう少しの辛抱だ。
これで頑張ってくれ。
大丈夫。 私 靴磨きは得意だから。任しといて!
千遥 一緒に頑張ろうね。うん!
ありがとう。頑張れよ。
うん。
<私たちは ささやかだけど幸せを感じることができたのです。あの日までは…>
(子ども)狩り込みだ! 狩り込みだ!狩り込みだ~!
全員 そのまま動くな!
これから 諸君を保護する。
信 狩り込みだ! なつを頼む!分かった! 行くよ なっちゃん。
うわっ…!
(子どもたちの叫び声)
♪~
なっちゃん 俺が出て引き付けるからその間に逃げろ。
嫌だよ! 信さんも 一緒に行こうよ!
俺は 必ず なっちゃんに会いに行くよ。
どこにいても きっと見つける。
またね。
信さん!
放せ 放せ…!
信さん!
止まりなさい! 待ちなさい!
<その日から また私たちの人生は一変したのです>
放せ!
サンキュー。
サンキュー! アイ ラブ アメリカン!
シューシャイン! いらっしゃい!
一人かい?
どっから来たの?
ちょっと おいで。
あっ!
いいから おいで。
どうしたんです?
いや…。
(泰樹)おい いるか?
おいって 何さ~。
あれっ もしかして あなた 富士子さん?はっ?
あなたが 婿の… 剛男さん?
今度こそ 柴田さんのご家族?
今度こそ? はい こんにちは。
そんなことは どうだっていいからなつは いるか?
なつ?こないだ来た あの子だ。
ああ… あの子が どうかしたの?いなくなったんです。
えっ!なつは ここには来てないのか。
どっから来たの?
東京です。と… 東京!?
誰と来たの?
一人です。
分かんないもね。それが どうして帯広に来たんか?
そこ黙ってちゃ分かんねえべさ。
お願いします。
私を 東京に戻して下さい。
えっ?
私を 東京に帰して下さい!お願いです!
東京には 誰がいる?
家族です。 お兄ちゃんがいます。
東京のどこにさ?
浅草の孤児院です。
孤児院?
(とよ)ここでアイスクリーム食べた あの子が…。
(雪之助)いなくなったんかい?アイスクリーム?
父が ここに連れてきたんですか?
うん… いつも 柴田さんにはごひいきになってます。
お義父さんがアイスクリームを なっちゃんに?
(富士子)何で言わないの?
おいしいです!うちのもんには ないしょだぞ。
はい。
それなのに いなくなったんかい。
恩知らずだねえ。
いえ その前にさんざん働かされてきたんで。
わしのせいだって言うのか?あっ いえ…。
どういう子なんだい? あの子は。
私の 亡くなった戦友の子なんです。
東京の孤児院から引き取って連れてきたんです。
私の責任なんです。
(妙子)あの~ 警察は?えっ?
家出なら 警察に保護されてるかもしれないでしょ。
そうよ!お義父さん!
とりあえず 今晩はこっちで保護するからね。
女の子が 一人で マーケットになんかいたら… うん? 物騒だべさ。
あの…。えっ?
すみません… お便所貸して下さい。
お~… 大丈夫か?
急ぐべ 急ぐべ…。
♪~