プロローグ
初投稿です。
ハーレムものですが、チートではない予定です。
暖かく見守っていただけると幸いです。
???
「にしても暇だなー。」
そんなことを呟きながらひとりの青年が街を歩いている。
彼の名前は
ごくごく普通の高校生だ。
身長は170cmほどで体型は中肉中背、人なつっこそうな少し幼なめの顔に髪はスポーツ刈り。
顔つきが少し幼いのに言葉使いが多少乱暴なため、背伸びをしている感じがクラスの一部女子からは人気があったりする。
もっともその評価に本人は納得していないのだが…
元気は土曜日の午前中からひとりで街にくりだすほどアウトドアな人間ではない。
本来なら今の時間帯は家でゴロゴロしながらテレビでも見ていたであろう。
しかし今日は父親はゴルフに、妹は友達と遊園地に出かけてしまっている。
普段一緒にゴロゴロしているふたりがいなくなったせいで、母親に”外に出るように”と追い出されてしまったのだ。
元気
「何が”元気って名前なんだから外に出かけろ”だ。
自分で名前を付けたのに勝手なこと言いやがって!!」
ぶつぶつと母親への文句を言いながら駅のほうへと歩いていく。
すると道端にアンケート会場が設置してある。
???
「すみません、アンケートにご協力いただけませんか?」
ふと目を向けるとお姉さんがアンケート用紙とペンを差し出している。
ショートカットがよく似合う美人さんだ。
スーツを着ており、タイトスカートから出ている生足が色っぽい…
取り立ててやることもなく、ましてや美人が配っているアンケートだったのでふたつ返事で了承する。
8畳ほどの広さに机やいすが設置してあるのだが、まだ時間が早いのか回答者は誰もいない。
空いている椅子に座ってアンケートに記入しだす。
なになに…
”無人島に3つだけ持って行けるとしたら何を持って行くか”だって?
「変なアンケートだな。」と思いながらも素直に記入していく。
まず、ふたつはあらかじめ決まっている。
元気
「令子と和佳っと。」
何のためらいもなくふたりの幼なじみの名前を書く。
ひとりは
165cmほどと女子にしては高い身長を持ち、長い黒髪に切れ長の目。
いかにも委員長といったタイプの美人だ。
胸はBよりのCカップと巨乳というわけでもないが、決して小さくもない。
しかし本人的にはCは大きめの部類に入り、「なんなら巨乳である。」と変なプライドをこじらせている…
もうひとりは
身長は155cmほどで、クォーター特有のふんわりとした金髪。
かわいらしい見た目のお嬢様だ。
そして推定Eカップという巨乳を持ち、クラス内では男女を問わず羨望のまなざしを集めている。
令子が自分の胸の大きさでこじらせているのは、和佳が原因なのだ…
元気はふたり両方のことが好きなのだが、日本の価値観では両方と結ばれることはできない。
しかし、無人島で3人だけという状況なら両方と関係を持つこともできるだろう。
そんな下世話なことを考えながらアンケートに記入していく。
そして3つめだ。
ひとつ年下の仲のいい妹にしようか?
何かしらの文明機器にしようか?
しかし無人島に妹まで連れて行くとなると、ふたりと結ばれる足かせになりかねない。
それに妹が一生独り身になってしまうのもあんまりだ。
では文明機器はどうだろうか?
やはりこれもあまりいいとは言えない。
何を持っていくかは置いといたとしても無人島には電気がない。
ましてや壊れてしまった時に修理をする技術もない。
いったい何がいいのだろうか?
しばらく考えた末、ふたりを守る力と記入する。
「よし記入し終わった。」と顔をあげると、いつの間にか真っ白な部屋の中にいる。
先ほどのお姉さんもいない…
代わりに金髪ツインテールの幼女が目の前にいる。
状況を理解できずにいると目の前の幼女が話しかけてきた。
幼女
「アンケート、書き終わったならちょーだい。」
あっけにとられていたが、素直にアンケートを幼女に渡す。
幼女
「何々、令子に和佳?
まあ、この質問で友達とか恋人とか人間を書くのは別に珍しくないんだよねー。
ただふたりも書くのは珍しいけど。
最後のは…
ふたりを守る力かー。
なかなかカッコいいじゃん。
ポイント高いよー。」
そういいながら幼女が笑ってくる。
つられて元気も愛想笑いをする。
幼女
「あんまりたくさん人間を送るのもよくないんだけど…
まあそのほうが面白くなりそうだし別にいいかー。」
ぶつぶつと独り言を言いながら幼女がうんうんと頷いている。
幼女
「実はこれ異世界転移のためのアンケートなんだけど…
あなた現状に満足していないでしょう?
さっきのアンケート会場は現状に不満を持ってる人にしか見えないの。
そういうわけであなた異世界転移したい?」
急に何を言い出すのだろうか?
確かに元気は現状に満足していない。
ふたりのかわいい幼なじみがいて、はたから見ればうらやましいのかもしれないが…
日本の価値観では、結局どちらか片方としか結ばれることはできない。
そして元気はどちらか一方だけなど選ぶことができない。
大げさかもしれないが、元気はふたりのことを同じくらい愛している。
そのせいでどちらとも仲のいい幼なじみの枠を出れていないのだが…
しかし、それと異世界転移とは何の関係もない。
急に”異世界転移したい?”なんて聞かれて、「はい。」と答えるやつがいると思っているのだろうか?
そもそも元気が回答したのは”無人島に3つだけ持って行くとしたら何?”であって異世界転移の話ではない。
無人島ならまだしも、異世界に行ったところでふたりと結ばれる確率が上がるわけでもないだろう。
第一”異世界転移したい?”と聞いてくるなんて…
自分が神だとでもいうのだろうか?
幼女
「そうだよー。女神様だよ。
いやー、最近の日本の若者は理解が早くて助かるねー。
アンケートは確かに無人島だったけど…
まあ細かいことは気にしないで。
でも転移先は中世ヨーロッパ的な世界観の異世界だから。
一夫多妻の世界だし、うまくいけば君の考える通り幼なじみふたりと結ばれることもできるかもよ。」
さらっと人の心を読んでくる。
アンケート会場からいきなり真っ白な部屋に連れてこられたことも考えると確かに神っぽい。
1%ぐらいは女神だと信じてもいいのかもしれない…
幼女
「まあ私を女神だと信じるも信じないも君の自由だからねー。
どうせこの後信じることになるんだろうけど…
あと異世界転移に際しての義務とかは特にないから安心してね。
ただ私がひまつぶしのために転移させるだけだから。
しいて言うなら見ていて飽きないように面白おかしく生きてねー。」
異世界転移すればふたり両方と結婚できる可能性があるし、義務もないのか。
本物の女神様からのお誘いなら決して悪いことにはならないだろう。
元気
「よし、異世界転移させてもらおう。
本当にできたら女神だと信じてやる。」
幼女
「いい決断力だねー。
令子ちゃんと和佳ちゃんはと…
学校と図書館にいるのかー。
よし、二人の居場所も分かったことだし。
それじゃ行ってみよー。」
途端にまぶしい光に覆われる。
体もどんどん宙に浮いていくようだ。
あれ…
まずい…
元気
「ちょっと待って!!
勝手に令子と和佳を巻き込んだら怒られる。
一回止めて…」
しゃべろうとしているのに最後のほうは声にならない。
必死にもがくが元気の意識がだんだんと遠のく。
そして元気を包んでいた光が一点に収束し、消えていく。
真っ白な部屋に女神だけが残る。
女神
「いやー、ほんと最近の日本の若者は物分かりがよくて助かるなー。
でも彼、最後なんて言おうとしていたんだろう?
まあ大事なことなら最初に言うだろうし別にいいかー。
よーし、さっそく様子をのぞいてみよー。」
そういって女神は楽しそうに水晶をのぞき込むのだった。