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アップル、任天堂を買収との観測広まる

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「米アップルは任天堂を買収すべし」

 116日付米ウォール・ストリート・ジャーナル日本版は、米金融専門誌「バロンズ」の『アップルよ、任天堂を買収すべし コンテンツとプラットフォームの相乗効果に期待』とする記事を転載した。「バロンズ」は、ダウ・ジョーンズが発行している週刊投資金融情報専門誌で、日本経済新聞社から発行されている「日経ヴェリタス」のモデルとなった。

 アップルは1300億ドルのネットキャッシュを、これまでは自社株買いと配当に充てていた。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「大型の企業買収を検討している」と明言した。

「アップルともっとも相性が良いのは任天堂かもしれない。アップルと任天堂の特質は似通っている。すなわち、潤沢な現金を有し、利益率が高く、強いブランドを持ち、忠誠の高い顧客を抱え、ユーザーを捉えて離さないソフトウェアとサービスのエコシステムを備えている。

 アップルは任天堂を傘下に加えることで、大規模でありながら、成長途上にあるゲーム業界への大きなエクスポージャー(引用者注・市場の価格変動リスクの影響を直接受ける資産)を獲得し、売上高の面でさまざまな潜在的シナジーの恩恵に浴することになる」(ウォール・ストリート・ジャーナル記事より)

 割安で買収できることにも言及した。

「任天堂の時価総額は340億ドルだ。約96億ドルのネットキャッシュを差し引き、さらに50%のプレミアムを支払うとすると、アップルによる買収価格は約400億ドルとなる。任天堂の1年前の時価総額が550億ドルだったことを思うと、依然として割安だ」(同)

「任天堂のコンテンツとアップルの規模が組み合わされば、マイクロソフトとソニーのオンラインゲームサービスの規模をすぐに上回る可能性がある」(同)

 そして、こう結んだ。

「アップルよ、動く時が来た」

アップルによる買収期待から任天堂の株価は一時、上昇

 任天堂は、庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の好調を受けて、18年1月24日に4万9980円の高値をつけた。だが大納会の同年12月28日の終値は2万9285円。1月の高値から35%も下落した。

「アップルは任天堂を買収すべし」とする米国の金融有力誌の報道を受け、東京株式市場で任天堂株が一時、買われた。1月21日に3万4630円まで上伸し、昨年末比18%上昇した。しかし、3月8日の終値は2万9665円(815円安)だった。

 果たして、アップルは任天堂の買収という黄金のカードを切るのか。今年の経済界の見どころのひとつである。
(文=編集部)

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