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ホラーな思い出

蝦夷に呪われた一族

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蝦夷に呪われた一族


妖精チッカのお告げで、私のデンパなホラー体験を少しずつUPしていこうと思います。

第一回目は、「蝦夷に呪われた一族」

コミカルに描きたいのですが、小説形式で今回も書かせていただきます。
蝦夷と聞くと、東北が浮かぶと思うのですが、蝦夷にまつわる因縁をお持ちの子孫の方々は東北以外の土地にも散り散りバラバラなんですね。

蝦夷以外でもそうですが、意外とローカルな普通の一般人の中から「わたし呪われた一族なんです」とか、そういう言葉を聞く機会が多かったです。

では、ノンフィクションの私の実体験。どうぞ。


………………………………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれは、まだ私が西洋魔術も、霊符の書き方も知らなかった頃。
オカルトを知らない私は、もともと霊能力があり、口コミで人の相談をよく受けていた。

知人の、世界的に有名な企業の社長令嬢であるMさんという女性がいた。
彼女の、高校時代の同級生であるAさんは、なかなか子供ができないことで悩んでいた。

「どうしたら、子供ができるだろうか?何か悪い原因があるのか?行ったらいいパワースポットはあるか?」


そんなような内容で、相談を受けることになりAさんの邸宅に向かった。


全国でも有名な高級住宅街を車で抜け、うっそうとした山の中の道路を1時間ばかり走るとAさんの邸宅はあった。
静けさの漂う、そして山の麓が絶景である山頂付近でAさんは静かに夫と暮らしていた。


私は、Aさんの家のインターホンを鳴らした。すると、ショートヘアがよく似合う、さわやかな美女があらわれた。
どうみても、30前半である。

しかし、Mさんの話では、Aさんは40前半だった。

私が、どうも、と挨拶すると、Aさんは怪訝そうにこう言った。

「・・・アシスタントの方ですか?」

私は、毎度のことなので苦笑いして、名刺を出した。

「majyoです、すいません、Mさんからの紹介でお伺いしました」

Aさんは、ぎょっとして、こう答えた。

「えっ、私よりも若い御嬢さんだったの?!私、てっきり、70代くらいの御婆さんとかが来るのかと・・」

当時、20代後半だった私は、どこに行っても助手、アシスタントと間違えられていた。
誰も、20代の世間知らずな小娘がまさか相談にのるなんて思わなかったのだろう。

クチコミでしか、受けていない相談だったので、仕方がない。いつも私は、苦笑いしていた。

「頼りなくてすみません、宜しくお願い致します」

私が頭を下げると、Aさんは不思議そうに私を見つめた後、家の中に案内してくれた。

アンティーク好きなのか、アール・デコ調の家具の並ぶ素敵な室内だった。

「素敵ですね、アンティークお好きなんですか?」

Aさんは、悲しそうに笑ってこう答えた。

「子供がいないから、インテリアにお金をかけたのよね。アール・ヌーボーも好きだから、色々あるので良かったら見ていらして。
お紅茶は、お好きかしら?それとも、珈琲?」


私は、珈琲で、と答えた。

Aさんは、一時期舞台女優もしていたらしく、壁にはAさんの舞台で活躍している場面の写真などが飾られていた。
舞台用メイクもいいが、ナチュラルメイクでも十分Aさんは女優並みの美貌を持っていた。


ソファーに座っていると、Aさんは、焼き菓子と一緒に珈琲をもってきてくれた。

「このティーカップは、安物なの。ごめんなさいね」

小さく舌を出して笑うAさんは、かわいらしかった。私は、珈琲をすすりながら、Aさんの話を聞いた。

要約すると、こうだ。


自分たち、夫婦は結婚して20年目になるが、子供ができない。
不妊治療をこころみたが、それでもだめだった。

そして、これから、また不妊治療をするかどうか悩んでいる。

これまでの人生、子供のこと以外はすべて、うまくいった。

お金にも友人にも地位にも美貌にも恵まれ、すべて欲しいものは手に入った。

しかし、こどもだけはできない。何故なのか、わかることがあれば教えてほしい。



話ながら、私は、自分が感じること、浮かぶビジョンについて、整理した。
そして、いくつか浮かんだことを尋ねた。


「Aさん、あなたか旦那さんの家系の因縁で、とても重い原因になってるものがあります。
おそらく、旦那さんだと思いますが、今お住まいの土地とは違う地域に、因縁はありませんか?

後、浮かばれない女性が、貴方の左後ろについています。
お知り合いでいませんか?

結婚してすぐなくなったかなにか、不幸な死をとげた女性。教会がみえます」

Aさんは、少し考えた後、こう答えた。

「夫の、母の祖先は東北です。○○という名字です。それ以外はわかりません・・・なんせ、こちらには身寄りがないらしいので。
東北の親戚とも付き合いはないそうです。

不幸な死をとげた女性・・・おそらく、夫の親友だった女性です。

彼女は、サンフランシスコで、結婚してすぐ転勤したのですが・・・車にひかれて死にました。
真っ二つに、上半身と下半身が、ちぎれたそうです。ひどい事故だったとか・・・


その女性が、何故、わたしにつくのですか?」

私は、Aさんにこうこたえた。

「おそらく、身内の方が、供養できないのでしょうね。旦那さんは?」

Aさんは、首を横にふった。

「生きていますが・・・彼は半身不随になりました。今も車いすの生活です。その事故から、その家族は皆うまくいかないのだそうです。夫は、その親友の女性の家族と、教会で知り合いました。地元の教会で、毎週日曜日一緒になるので仲良くなったそうです。

でも・・・私、その女性のこと知りません。それなのに、憑くなんて・・・ひどくないですか?」


私は、ため息をはいた。


「皆さん、そう言われますね。でも、死んだ人間からすると、関係ないんですね。生きている人間の事情なんて。

例えば、災害で死んだ人の霊は、どうなると思いますか?」

「わかりません」

私は、続けてこう話した。

「生きてるすべての人間を、呪うように妬んで、怨念をうみだすんですよ。

【何で、たまたま地震がここでおきたから、津波がおきたから、ここで自分たちは皆、死ななければならなかった?

たまたま、地震や津波がないからって、お前らはのうのうと生きていられるんだ?】って。


死んだら、皆が無条件に天国、極楽浄土にいくなんてことはありません。
生きてる人間が、死者を弔って、敬わなければ、良い状態にはなれないんですよ。

それに、誰もが、自分の望む幸せを手にできなければ未練、後悔は残ります。自分ができなかったことを平然と叶える人間をみて、怒り狂う霊もいますし。先祖が、子孫の邪魔をすることもよくありますよ。

そんな話ばかりすると、きりがないんですけど、とりあえず、その女性の血縁関係がある方が、弔えなければ、旦那さんとAさんがご一緒に、供養をしてあげてください。頼ってこられているんだと思います。もし、それが嫌なら、意思表示として、頼ってくるなという気持ちを強くもつのも自由です。

生きてる人間と、同じですよ。死んでも、人間は人間です」

はぁ、と、言いながらAさんはぼんやりと何かを考えているようだった。

私は、Aさんの出してくれた焼き菓子に手を付けた。バターの香りがする美味しいガレットだった。
珈琲とのフレーバーを楽しんでいると、Aさんは思い出したように、こう言った。

「蝦夷!」

「えっ?」

私は、耳を疑った。Aさんは、はっとしたように、想い出し、話し始めた。

「一度だけ、夫の母の故郷に行ったことがあるんです。旅行で。

蝦夷です、蝦夷。鬼とか、そういう話でしたっけ?

蝦夷の縁の地、でした。蝦夷がいたとか、そういう場所です。
すいません・・・それ以上、わからなくて・・・

あ、夫の母の旧姓が、その土地の地名になっていました・・・
これって、因縁があるってことですよね?」

私は、珈琲を飲みながら、ぞわっと鳥肌がたつのを感じた。

蝦夷、東北のまつろわぬ民。
大和朝廷の前に、東北、関東、北海道にいたとされる民。

確かに、蝦夷を討伐し、封じた塚もある。
その地名が、Aさんの夫の先祖の名前なのだ。

わたしは、また外れクジをひいてしまったのか。
よく、呪われた一族という人から、相談を受けることがあるのだ。

前は、シュメールの子孫、古代出雲王朝の子孫の一族がいた。

「ホラー作家にでも、なったほうがいいのかというくらいネタが豊富だな」
そう思い、私は苦笑いした。

Aさんに、こうこたえた。


「私も、調べてみます。東北の研究家の知人も、東北出身の友人もいますし。
珈琲とガレット、御馳走様です。とても美味しかったです」


Aさんの邸宅を後にし、ホテルへと向かった。
チェックインし、調べていると色々と出てきた。

ここでは実名は伏せることにするが、本当に、蝦夷を討伐した後、その怨霊を封じ続けてきた僧侶たちがいた。
そして、その後、その僧侶たちの血筋も、役割も、江戸の廃仏棄釈やら、いろいろな改革やらでなくなってしまったのだ。

現代では、霊的ないわれも、祭事の風習も重要視しない。

もともと、日本全国の祭事というのは、怨霊封じが目的でつくられたものが多い。

何故なら、日本の神社仏閣は「御霊信仰」でつくられたものが多いからだ。
特に、神社をみればよくわかるのだけれど、御霊神社というものはいくつもある。

怨霊を信仰し、奉る神殿。それが、神社の起源である。
ちなみに、廃仏毀釈で、江戸時代末期から、仏教弾圧迫害があった。

多くの霊場、仏教関係のものが消された中、神社として残される多くのものがある。
何故残すのか、それは封じ続けなければならないからである。


ベタかもしれないが、崇徳天皇、安徳天皇、平将門など。
日本には、数多くの、今でも語り継がれる怨霊が山ほどいるのだ。


蝦夷を、怨霊として語り継ぐものはいない。
かつて東北に存在した英雄、幻の民。

高橋氏による小説、炎立つで大河ドラマにもなった。
そのため、怨霊として封じられているような、悪霊のようなイメージはないのである。

歴史は常に、勝者が塗り替えるものである。敗者は歴史の闇に消えるか、従うか。

きっと、その蝦夷の怨霊が解放されるには、Aさんの夫の名前をもつものが繁栄してはならないという、霊的な意味などがあるのだなと、私は考えた。


ぼんやりと、考えていると、こんな夢をみた。


夢の中で、私は、薄暗い暗闇の中にいる。

それは、洞窟のようなものの中だった。

そこで、私は、男性と話している。

あきらかに、日本人とは違う特徴をもつ男性である。北欧系の、人種だ。

彼は、こんなことを私に告げた。


「われわれが、封じられなければならない理由などない。封じたものの血をつぐもの、名をつぐものが繁栄すれば、われわれはここに居続けなければならない。

われわれが、黄泉返りをするには、かのものらは絶えなければならない。

われわれは、この地の、精霊と契約していた。

この地の精霊が、さわぐとき、蘇る時、われわれも黄泉返ろう。

邪魔立てするでないぞ、邪魔立てするならば命はないと思え」

その男は、私を脅すように、そう言った。そこで、目が覚めた。

誰かの因縁をみると、よくこういう警告がある。

世の中は平和に見えて、平和ではないのだ。今でも、ある地点での勝者が、勝ちつづけている。
ある地点で敗者となったものたち、その子孫は、勝者に従い続けるしかないのである。


東北には、おそらく、蝦夷の子孫として、血を受け継いでいるものたちは残っているのだろう。

全く会っていなかったとしても、おそらく、Aさんの子孫がうまれないことで、蝦夷の子孫は繁栄する。
しかし、Aさんの子孫が生まれ、彼らが望むものすべてを手にすれば、蝦夷の子孫は、敗者として従い続けなければならない。


私は、Aさんに、連絡し、その夢の内容をすべて伝えた。

彼女は、怒りもせず、その話をきいて、こう答えた。


「昨日、あれから、蝦夷のことを調べたんです。それで、ちょっと考えたんです。

きっと、私だったら・・・くやしいから同じこと、するのかもしれないなって。
だから、運命ってほら、神様にしかわらないって言うでしょう?

だめもとで、人工授精、もう一回だけチャレンジしてみます。
あと、東北の、そこにも行ってみます」


数か月して、Aさんから、連絡があった。
人工授精は失敗した、自分たちは子供はもうあきらめる。

本当に、子供を授かりたい一心で、たくさんがんばってきて、傷ついてきた。
だから、もう、心残りはない。ありがとうございました。


私は、そのメールを読み、まだ家庭ももっていない、子供もうんだこともない、何の経験もない自分自身がこたえられる言葉はないと思った。


私は、ただ、霊能力が、通常の人間に比べるとあるだけである。
ひとにわからないものがあるから、特殊な感覚があるからといって、人の悲しみや苦しみがわかるわけではない。

Aさんに、言える言葉がない中で、一生懸命に、考えて言葉を返した。


私こそ、お力になれず、申し訳ございませんでした。
珈琲とお菓子、そして貴重なお話しをいくもお聞かせいただき、ありがとうございました。


後日、本屋で立ち読みをしていた時に、ふと、ある本が目に入った。

「伝説の悪魔」

分厚い本の中を、ぱらぱらとめくると、そこに、驚くことが書かれていた。

「伝説の悪霊 悪路王

平安初期の蝦夷の初代首長 悪路王。
文献によっては、鬼と記されることもある。

アテルイと同一視されることもある」


日本にかつて存在した英雄は、西洋のメジャーな悪魔ルシフェルやベルゼブブと同様に、悪魔の類として本に記載されていた。


「もう、こうなったら、あべこべで、悪魔も悪霊も、鬼も何でもごちゃまぜじゃんね。伝説化してるんだな、蝦夷って」


私は苦笑いしながら、その本をおさめた。





















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