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♪~
(なつ)「お兄ちゃん 元気ですか?なつは元気です。なつは元気だけど早くお兄ちゃんに会いたいです。孤児院の暮らしは 大変だと思うけど頑張って早くなつを迎えに来て下さい。それから お兄ちゃんにお願いがあります。千遥のいるおじさんの家の住所教えて下さい。千遥は まだ 手紙を読めないけど手紙を書きたいです。お兄ちゃん 早く また千遥と 3人で暮らせることを 私は…」。
う~ん…。
おはようございます!(剛男)なっちゃん ちょっと来てごらん。
あっ…。
(悠吉)今 生まれるとこだ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(悠吉)今 生まれるとこだ。
♪~
あっ…。
生まれたよ!
♪~
(泰樹)ご苦労さん。 よし 初乳を搾るぞ。
(剛男)はい。
乳も出して 子どもも産むんだね。
牛さんって 大変だね。
(菊介)何言ってんだよ なっちゃん。
子どもを産まなきゃ 乳は出ないのさ。
そうなの?そりゃ 人間の母親と一緒だ。
そうか…。
みんな お母さんなんだ。
(花村)1から7は引けないのでお隣の10の位から 10借りてきます。10引く7は3。3足す1は4ですね。
(夕見子・小声で)ねえ 何見てんの?えっ?
何も見てないよ。何も見てないわけないしょ。
後ろを見てただけよ。
(花村)奥原なつさん。はい!
この問題 分かりますか?
今の授業を聞いていたら分かるはずですよ。
あの 答えは…。
10銭です!
せん?あっ 10です!
(大作)金の計算してんじゃねえよ。(笑い声)
正解ですけど。すみません…。
10銭? 10銭を貸してくれってか?
(富士子)そう 郵便代よ。
東京にいるお兄さんに出したいからって。
そんなこと 遠慮してたのか。
そなのよ。
泣けるねえ。 鬼のような他人の家で暮らす戦災孤児の話はた~くさん聞くもな。
あっ いや…。
この家が そうだと言っているんではなく…。
余計なこと しゃべんな。ごめん…。
だから 私 手紙なんか どんどん書けって怒っちゃったのよ。
そしたら あの子 泣きだしちゃって…。
やっぱり寂しいのか なっちゃんは。
また 馬?
今日ね 子牛が生まれたの。
馬しか描かないの?(天陽)悪いか?
悪くないけど ほかの絵も見てみたいから。
どうして 絵が見たいの?
私のお父さんも 絵がうまかったの。
お父さんの新しい絵はもう見られないから。
ふ~ん。
(風の音)
おっ。
あっ!
ちょっと貸して。えっ?
何?
うわ~ 面白い!
ねえ これ見て!
まるで 馬が暴れてるみたい。
ねっ ほら!
(いななき)
♪~
あっ こんにちは。
(正治)やあ。 手紙書いた?はい。
これで お願いします。
はい。 確かに お預かりしました。
あの…。うん?
返事があったらすぐに届けてもらえますか?
もちろん すぐに届けるよ。待っててね。
はい。
手紙 出したの?うん。
どこに出したの?
東京のお兄ちゃんのところ。
ふ~ん。 ねえ はっきり聞くけどあんたは この家にいたいと本当に思ってる?
それとも しかたなく?えっ?
私は 別に どっちだっていいのよ。
ただ 聞いておきたいだけ。
はっきり知っときたいのよあんたの気持ちを。
だって そうじゃなきゃあんたを どう受け入れていいか分かんないんだもん。 どっち?
そこが分かんないとどう優しくしていいか 分かんないよ。
それなら無理に優しくしなくたっていいよ。
えっ?私は 大丈夫だから。
無理しないでね。
よいしょ…。 ああ お帰んなさい。
あっ ただいま!あの おばさん 何か手伝います。
そう? じゃあね…明美と遊んでてくれる?はい。
そんだけで助かるわ。はい。
明美ちゃん おねえちゃんと行こう。
よし。
あの子… 腹立つ!
えっ?
やった~!
分かった? じゃあ 今度 明美ちゃんの番。
(薪割りの音)
上手ね。 それ 私にも教えて。(照男)えっ?
私にもやらせて。 手伝います。
ダメだよ! 危ないよ。
大丈夫よ。明美ちゃん ちょっとだけ離れててね。
ダメだったら!
お前は 牛の乳搾りがあるだろ。
これは 俺の仕事だよ。
そっか そうだよね。
私のお兄ちゃんは ダンスを踊れるの。
(咲太郎)♪「得意顔 東京は銀座へと来た」
タップダンスって知ってる?
昔 浅草の芸人に習ってたんだって。
私も習いたかったけど戦争になったから ダメだったの。
何 言いたいの?
それだけ。 行こ 明美ちゃん。
<それから 何日たっても兄からの返事は来ませんでした>
ただいま!
<私は おかしいと思うようになりました>
<兄は 別れる時私に 手紙を書くと言いました。うそをつくような兄ではありません。兄から手紙が来なければ妹の行方も分かりません>
あっ! 大丈夫!?
(泣き声)あっ 血が出てる…。
(千遥)お母さん お母さん!大丈夫 お姉ちゃんがいるから。
お母さんに会いたい! お母さ~ん…。大丈夫だってば!
(泣き声)
ちょっと 何してんのさ!?(泣き声)
明美 大丈夫? 何してたのさ!
えっ…。
お母さん!なしたの?
あの子が 明美を泣かしてた。え~?
どしたの?ごめんなさい! でも…。
もういいから… 明美の世話はいいからあんたは おじいちゃんの仕事手伝ってきて。
はい…。
♪~
<私は 考えていました。兄は 私が会いたいと手紙に書いたものだからこれ以上 寂しがらせないようにわざと 返事を書かないのではないかと…>
「お兄ちゃん 私は大丈夫です。私は 幸せです。みんな 優しくしてくれています。どうか 私のことは心配しないで」。
♪~
さようなら…。
♪~
なつは その朝 突然東京に帰る決心をしたのです。
なつよ 東京は遠いぞ。
来週に続けよ。